ポッドキャスト「英国ドラマタイム」の書き起こし記事です。
番組では、イギリスの歴史ドラマ・映画の紹介や見た感想、ロケ地や時代のことなどを話しています。
今回のトークテーマは、募集したアンケートの結果報告。『ダウントン・アビー』の好きな登場人物と場面です。
アンケート結果報告『ダウントン・アビー』の好きな登場人物・場面
「こんにちは。『英国ドラマタイム』へようこそ。この番組は、イギリスの歴史ドラマの世界が大好きな私が、その魅力を語る番組です。おすすめのドラマや映画の紹介や見た感想、ロケ地や時代のことなど、話しています。
7月は「ダウントン・アビー」の世界を深堀りしています。
今日は、先週の放送で募集していたアンケートについてご紹介したいと思っています。お聞きしていたのは、ダウントンアビーの好きな登場人物や場面について。いくつか回答をいただきまして、どうもありがとうございました!
「先代伯爵夫人、ヴァイオレットの皮肉屋ユーモアが大好物です。」
これすごくよく分かります。私もヴァイオレットの言葉好きなんですよね。彼女のセリフには名言になるような言葉がたくさんあるんですが、表情や仕草も合わせて見るとより面白いし、ぎょっとさせられたり、泣かせてくれたりするんです。これはやっぱり名女優マギー・スミスのなせる技ですよね。
いくつか印象的な言葉を一緒に振り返ってみましょう!
シーズン1の第7話。
コーラが妊娠したことを伝えにヴァイオレットを訪問した時のことです。メイドのオブライエンが良くしてくれているというコーラに、ヴァイオレットは自分のメイドのシモンズの様子がおかしくてやめるんじゃないかと心配を打ち明けるんです。
メイドがやめてしまうことは一大事なんです。全てを信頼してまかしているわけだから、辞められたらまた新しい人を探し、関係を作っていかないといけないからです。
ヴァイオレットはこう言います。「なぜ彼女が私のもとを去りたいのかしら?私はまるで子羊のように優しくしてきたのに…」と。
言葉を聞いて、コーラは無言で流し目だけで反論するんです。その視線に気がついたヴァイオレットは、ちょっと可愛らしく「ほとんどの場合はね・・・」とつけっ加えるんです。笑
ヴァイオレットは自分が力強く威圧的であることよくわかっています。そのことを無邪気に隠そうとしているこのセリフ。とてもチャーミングです。
感動的な場面もたくさんあります。私は特にメアリーとのやりとりで多いかも。
1本目の映画の最後、ジョージ5世の舞踏会での場面です。
病院で検査を受けてもう先は長くないことを知ったヴァイオレットはメアリーにそのことを伝えます。これからどうなってしまうのかと不安なメアリーに、自分の美徳はあなたの中に生き続けると言います。
メアリーが「屋敷があるかぎり、亡くなっても、ずっとあらゆる絵から、本から語りかけて、見守ってほしい」といった時の一言。
「なんだか疲れそう・・・安らかに眠らせて欲しいわ」
感動的な場面が現実に引き戻されます笑
ヴァイオレットの存在は、苦しみを悲しみを喜びを、必要以上に高めたり深めたりせずに、冷静に受け止めることを気が付かせてくれるきっかけにもなってる気がします。
そのほかお答えいただいた印象的な場面として
・メアリーがスキャンダルを起こす場面
・マシューの交通事故
・デイジーが亡くなっていくウィリアムと結婚する流れになっていくところ
・トーマスが戦場から帰還するために自ら指を怪我させるシーン
・トーマスが食塩水を注射していて病院に行く場面
どれもすぐに思い出せる場面ですよね。
特にトーマスの2つの場面はとても対照的です。戦場にうんざりして怪我をしてここから抜け出そうと、防空壕から指を突き出してそこをわざと撃たれて怪我をします。彼の狡賢さと大胆さが全て出ているところでした。
でも自分の性的嗜好を変えて普通の男になりたいと、民間医療の詐欺にあい、消毒されていない食塩数を自ら注射して、ひどい状態になるんです。その状況から抜けだす時に頼るのは、ずっといじめて苦しめていたメイドのバクスター。バクスターはトーマスの辛さとか苦しみを理解してくれていた人の1人なんですよね。
最後に私のお気に入りの場面をご紹介すると・・・
メアリーとイーディスの和解の場面が特に好きです。
ヘンリーとの再婚の結婚式の日。メアリーが引き起こした騒動で、関係がぐちゃぐちゃになっていたイーディスが駆けつける場面です。メアリーの行動はたとえ許せなくても、1人の姉だから、亡くなったシビルとの思い出を共有できるからきたのだとイーディスは言います。今はお互いに嫌いでも、いつか家族や使用人たちの思い出話をしたくなる時が来るからです。
共有できる思い出があって、それを語り合うことができるのってとっても幸せなことですよね。若い時には気が付かなくても、いつかその大切さがわかる時がくるのだと思います。
私もこの番組を始めたのは、感動や共感を分かち合い、さまざまな意見を聞いてみたいからなんです。
今日はダウントンアビーの好きな登場人物や印象に残っている場面のアンケート結果をお届けしました。お答えいただいた皆様、どうもありがとうございました。
次回はダウントンアビーの三つ目の魅力 ロケ地です。
ぜひ聞いてくださいね。