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ブログ『Country House Stories』について

2023-02-05

初めまして。『Country House Stories 』(カントリー・ハウス・ストーリーズ)を見にきてくださってありがとうございます!!ブログを運営しているyokoです。

このブログでは、イギリス中にたくさんある英国貴族など上流階級が所有する(していた)、カントリー・ハウスと呼ばれる緑豊かな田舎にある豪華なお屋敷を紹介しています。

書いていること

・カントリー・ハウスの訪問記
・カントリーハウスの歴史・生活など
・たくさんあるお屋敷を紹介
・カントリーハウスがロケ地となった映画やドラマのこと
・イギリスの歴史や英国王室について

カントリー・ハウスとは?

”カントリー・ハウスとは、英国貴族や地主など上流階級の所有する(していた)、田園にある大邸宅のことをそう呼びます。しかしただの豪華なお屋敷というだけではないのです。

持ち主は伝統的に、土地を貸して得られる収入や金利で労働せずに生活ができるという階級上位の人々。彼らは国の重要な地位を占める、政治、司法、軍の上層部、植民地の運営などに関わっていました。そのために、カントリーハウスは、代々続く一族の歴史、権力財力を示すための建物、パワーハウスでもあったのです。


邸宅の中には、家系図のような肖像画などが壁にぎっしり飾られて、代々が所有してきたお宝の眠る美術館のような場所。そして歴史の舞台にも登場するような歴史的建造物としても有名です。

面白いことに、カントリーハウスに込められた物語は所有していた上流階級の人々だけでなく、建設に関わった人々や、彼らを支えてきた使用人たちのドラマもとどめています。

そんな物語は、ジェーン・オースティンやシャーロット・ブロンテの小説の中にも登場。そして今では、「ダウントン・アビー」や「日の名残り」など毎年登場するたくさんの映画やドラマでも見ることができます。

私にとってカントリーハウスとは、人の歴史と芸術品が当時の流行の建物の中につめこまれた美術館

カントリーハウスに魅せられた私が、どのように出会ったのかお話します!

私がカントリーハウスと出会ったきっかけ

サルトラム・ハウス

私が初めてカントリー・ハウスという存在を知ったのは、イギリスでの語学留学中のこと。当時、イギリス南都部のプリマスという都市の語学学校に通っていました。土曜日の休みを利用して、友人に「サルトラム・ハウス」に行こうと誘われたのです。


上の白い上品な外観の建物が「Saltram House(サルトラム・ハウス)です。


美しい建物の中には、先祖代々の肖像画や、これまでの所有者が集めてきた芸術品が所狭しと展示してあります。今、美術館に飾られている絵も、元々はこのように家の中に飾られていたものだったのだ!と実感したのを覚えています。


住んでいた人々がかつてどのような暮らしをしていたのか、知ることができるように保存されています。当時の資料から調査して修復されてこのように美しい姿を見て回ることができるのです!

サルトラム・ハウスのインテリア


そして美しいのは建物の中だけではありません!!

邸宅の周りの広大な敷地や、その中にある庭園も見ものです。

芝生、並木道がある広大な敷地を散策し、そこから建物を見るとまた美しさに感動。

サルトラム・ハウスの庭園

カントリー・ハウスがイギリス国内に今もたくさん残っていて、邸宅美術館として一般に公開されていることも知ったのもこの時です。


ここに載せた、サルトラム・ハウスの写真は、当時のものではありません。プリマスを離れてずいぶんと経って、友人を訪ねて遊びにきた時に再び訪問した時のもの。とても懐かしく思い出しながら散策しました。


イギリスの大学でカントリー・ハウスについて学んだ

Stowe House, CCO, Wikimedia

語学学校への留学は、その後西洋美術史を学ぶための準備期間でした。そして、イギリスの大学に入学をしたわけですが、偶然にもカントリー・ハウスについて学ぶ機会にも恵まれたのです。当時の美術史学部長が、カントリー・ハウスの専門家だったからです。


今思うと、きっと偶然ではなくてこうなるはずだったんだなと思うのです。初めてサルトラム・ハウスに行った日からすでに何年も経っていますが、今でもこうやって日々カントリー・ハウスについて知ることが楽しくて仕方ありません。

さて、大学のことへ話を戻します。
授業では、近くにあったカントリーハウス「Stowe House (ストー・ハウス)」へ何度も訪問しました。歴史だけでなく、文化遺産としての管理についても学びました。


ストー・ハウスは、初めにご紹介したサルトラム・ハウスとは違い、建物も敷地も巨大です。普段一般に公開されているのは庭園のみで、建物はStowe Schoolという学校施設として使われているため、見学は限られた期間のみです。


ストーは風景式庭園という、英国の庭園スタイルの一つ、自然にできたような木立や丘、湖などを作り込んだ庭園でとても有名です。庭園の中に建つ古代の寺院などの建物が、歩いている途中に木の間から急に姿を現したり、湖に美しく写り込んだり・・・

庭園の中ということを忘れて、自然の中に放り出させれたように感じるのですが、実はすべて計算されて作られている。絵の中のような美しい風景を、自分の庭園にも作り出したい!!と風景式庭園は生まれたのです。


カントリー・ハウスには波瀾万丈の物語がたくさん

Blenheim Palace, CC BY-SA 4.0, Wikimedia Commons

それからは授業だけでなくクラスメートとや、1人旅行でカントリー・ハウスを巡るようになりました。

その一つが上のブレナム・パレス( Blenheim Palace)。パレスという名前の通りその巨大さに驚きです。もはやどこまでが敷地なのかわからない・・・建物の中も豪華さに目を見張りますよ。世界遺産にも登録されています。


ブレナム・パレスには興味深い物語がたくさんあります。現在も第12代マールバラ公爵とその家族が住んでいて、彼らの先祖の元首相ウィンストン・チャーチルが生まれた家として有名です。


時をさかのぼり、1704年8月13日のブレナムの戦いでの初代マールバラ公爵が勝利して、褒美にアン女王から与えられたのがこの敷地とこの場所にあった屋敷。

▼このエピソードが出てくる映画もあります。(映画ではブレナム・パレスは登場しませんが、他のカントリー・ハウスが登場してます)


この場所はもともと英王室と関わりの深い場所で、エリザベス1世がまだ王女だった頃、メアリー女王の支配下で身柄を拘束されていました。ブレナムパレス建設時、エリザベスが身を置いていた建物は取り壊されたなんて歴史もあります。


見た目だけでなく、所有してきた一族の歴史、邸宅や庭園が造られた時代背景や、現在までこのように美しく保存されてきた経緯などカントリーハウスの数だけ物凄いドラマがあることが、私が興味をここまで持ち続けている理由です。

他にも魅力はたくさん

私がカントリー・ハウスにハマってしまうその理由を他にもいくつかご紹介します。

日本でもファンの多い、ウィリアム・モリスの壁紙や絵画が残ったお屋敷もあります。美しいですよね。
こちらはワイトウィック・マナー(Wightwick Manor)

アジアの文化が英国のカントリーハウスにも取り込まれています。こちらは中国の壁紙。ナショナル・トラストが管理している15の屋敷に、25の壁紙が残っているそうです。(インスタグラムの投稿は2019年2月現在)

日本の漆器や陶器なども見ることができるお屋敷もあります。ヨーロッパから見ると異国情緒溢れるアジアの文化が、当時の上流階級の間で流行した時代があったからです。

英国中にたくさんあったカントリー・ハウスは、産業革命、世界大戦の後社会が大きく変化していく中で維持することが難しくなり、廃墟となったり売却されたりと危機的な状況に陥りました。


そのような状況を救うのが、ナショナル・トラストや、イングリッシュ・ヘリテイジなどのボランティア団体。数多くのお屋敷が管理されています。

カントリー・ハウスを見ていくと、英国の美術史だけでなく、西洋美術とカントリーハウスは切っても切れない関係であることがわかります。カントリー・ハウスを所有してきた王室や上流階級の人々が美術のパトロンであり、今美術館に飾られているような作品も、かつてはカントリー・ハウスに所有されていたものがたくさんあります。

芸術品のかつての所有者を調べていくような少しマニアックな美術の話から、『ダウントン・アビー』『ブリジャートン家』などの歴史ドラマや映画も楽しみながら、カントリーハウス巡りをしてみたい!!と思ってもらえるようなブログにしていきたいと思います。



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