ブログ『Country House Stories カントリー・ハウスで学ぶ西洋美術』を見にきてくださってありがとうございます!!

このブログを運営しているYokoです
ブログのテーマは、英国のカントリーハウスに関わってきた人たちの物語を紹介し、どのようにカントリーハウスに織り込まれてきたのかを楽しむことです。
そして同時に、色々な顔を持つ英国のカントリー・ハウス文化を通して、西洋美術を学ぼうという意図もあります。
カントリーハウスって何なの?
”カントリー・ハウス”とは、英国貴族や地主など上流階級の所有する田園にある大邸宅のことをそう呼びますが、ただの豪華なお屋敷だけではありません。
持ち主は、伝統的に、土地を貸して得られる収入や金利で労働せずに生活ができるという階級上位の人々。
彼らは国の重要な地位を占める、政治、司法、軍の上層部、植民地の運営などに関わっていました。
カントリーハウスは、代々続く一族の歴史、権力財力を示すための建物、パワーハウスでもありました。
建物の中には、家系図のような肖像画などが壁にぎっしり飾られて、代々が所有してきたお宝の眠る美術館のような場所でもあります。
英国の歴史の舞台にも度々登場する歴史的建造物としても有名です。
さらに、カントリーハウスに込められた物語は上流階級の人々だけでなく、建設に関わった人々や、彼らを支えてきた使用人たちのドラマをとどめています。
私にとってカントリーハウスとは、こんな存在です!
人の歴史と芸術品が、当時の流行の建物の中につめこまれた美術館
こんなさまざまな顔を持ってるカントリーハウスに魅せられた私がカントリーハウスとどのように出会ったのかお話します。
カントリーハウスと出会ったきっかけ

私が初めてカントリー・ハウスという存在を知ったのは、イギリスでの語学留学中のこと。
当時、イギリス南都部のプリマスという都市の語学学校に通っていました。
土曜日の休みを利用して、友人に「サルトラム・ハウス」に行こうと誘われたのです。
上の白い上品な外観の建物が「Saltram House(サルトラム・ハウス)です。
美しい建物の中には、先祖代々の肖像画や、これまでの所有者が集めてきた芸術品が所狭しと展示してあります。
今、美術館に飾られている絵も、元々はこのように家の中に飾られていたものだったのだ!と実感したのを覚えています。
住んでいた人々がかつてどのような暮らしをしていたのか?想像できるように部屋も美しく保存されています。

美しいのは建物の中だけではありません!!
広大な敷地やその中にある庭園も見ものです。
芝生、並木道がある広大な敷地を散策し、そこから建物を見るとまた美しさに感動。

カントリー・ハウスがイギリス国内に今もたくさん残っていて、邸宅美術館として一般に公開されていることも知ったのもこの時です。
ここに載せた、サルトラム・ハウスの写真は、当時のものではありません。
プリマスを離れてずいぶんと経って、友人を訪ねて遊びにきた時に再び訪問した時のもの。
懐かしく思い出しながら散策したんですよ。
大学でカントリー・ハウスについて学ぶことになった

語学学校への留学は、その後西洋美術史を学ぶための準備期間でした。
そして、イギリスの大学に入学をするわけですが、偶然にもカントリー・ハウスについて学ぶ機会にも恵まれたのです。
美術史学部長が、カントリー・ハウスの専門家でもあったからです。
今思うと、きっと偶然ではなくてこうなるはずだったんだなということです。
初めてサルトラム・ハウスに行った日からすでに何年も経っていますが、今でもこうやって日々カントリー・ハウスについて知ることが楽しくて仕方ありません。
さて、大学のことへ話を戻します。
授業では、近くにあったカントリーハウス「Stowe House (ストー・ハウス)」へ何度も訪問しました。
カントリーハウスの歴史だけでなく、文化遺産としての管理についても学びました。
ストー・ハウスは、初めにご紹介したサルトラムハウスとは違い、建物も敷地も巨大です。
こちらは一般に公開されているのは庭園。
建物はStowe Schoolという学校施設として使われているため、見学は限られた期間のみです。
ストーは風景式庭園という、英国の庭園スタイルの一つ、自然にできたような木立や丘、湖などを作り込んだ庭園でとても有名です。
庭園の中に建つ古代の寺院などの建物が目の前に出てきたり、歩いてたびに見える風景がどんどん変わってくる。
庭園の中ということを忘れて、自然の中に放り出させれたように感じるのですが、実はすべて計算されて作られている。
絵の中のような美しい風景を、自分の庭園にも作り出したい!!と風景式庭園は生まれたのです。
波瀾万丈のカントリー・ハウス物語に引き込まれる

それからは授業だけでなくクラスメートや、自分でもカントリー・ハウスを巡るようになりました。
その一つが上のブレナム・パレス( Blenheim Palace)。
パレスという名前の通りその巨大さに驚くでしょ??
もはやどこまでが敷地なのかわからない・・・
建物の中も豪華さに目を見張りますよ。
ブレナム・パレスには興味深い物語がたくさんあります。
現在も第12代マールボロ公爵とその家族が住んでいて、彼らの先祖の元首相ウィンストン・チャーチルが生まれた家として有名です。
時をさかのぼり、1704年8月13日のブレナムの戦いでの勝利がブレナム・パレスの始まりです。
勝利を感謝するアン女王から、第1代マールバラ公ジョン・チャーチルへの贈り物として領地が与えられました。
この場所はもともと英王室と関わりの深い場所で、エリザベス1世がまだ王女だった頃、メアリー女王の支配下で身柄を拘束されていた場所でもあったのです。
ブレナムパレス建設時、エリザベスが身を置いていた建物は取り壊されたなんて歴史もあります。
現在はユネスコ世界遺産にもなっている、長くて多様な歴史を持った場所なのです。
見た目だけでなく、所有してきた一族の歴史、邸宅や庭園が造られた時代背景や、現在までこのように美しく保存されてきた経緯などカントリーハウスの数だけ物凄いドラマがあることが、私が興味をここまで持ち続けている理由だなと気づいてきたのです。
他にも魅力はたくさんあって・・・
他にも私がカントリー・ハウスにハマっているその理由をいくつかご紹介すると・・・
日本でもファンの多い、ウィリアム・モリスの壁紙や絵画が残ったお屋敷もあります。
美しいですよね。
こちらはワイトウィック・マナー(Wightwick Manor)
アジアの文化が英国のカントリーハウスにも取り込まれています。
こちらは中国の壁紙。
ナショナル・トラストが管理している15の屋敷に、25の壁紙が残っているそうです。(インスタグラムの投稿は2019年2月現在)
他にも日本の漆器や陶器なども見ることができるお屋敷もあります。
ヨーロッパから見ると異国情緒溢れるアジアの文化が、当時の上流階級の間で流行した時代があったからです。
英国中にたくさんあったカントリー・ハウスは、産業革命、世界大戦の後社会が大きく変化していく中で維持することが難しくなり、廃墟となったり売却されたりと危機的な状況に陥れいりました。
そんな状況を救うのが、ナショナル・トラストや、このイングリッシュ・ヘリテイジなどのボランティア団体。
数多くのお屋敷が管理されています。
西洋美術についてカントリー・ハウスを通して語るのは、イギリスではカントリー・ハウスを所有してきた王室や上流階級の人々が美術のパトロンであったからです。
そして、今は美術館に飾られているような作品も、かつてはカントリー・ハウスに所有されていたものがたくさんあります。
英国の美術史だけでなく、西洋美術とカントリーハウスは切っても切れない関係です。
少しマニアックな美術の話から、『ダウントン・アビー』『ザ・クラウン』などの歴史ドラマや映画も楽しみながら、カントリーハウス巡りをしてみたい!!と思ってもらえるような発信をしていきたいと思っています。
▼インスタグラムにもぜひ遊びに来てくださいね!

どうぞよろしくお願いします😊