ポッドキャスト「英国ドラマタイム」

#13 『ゴスフォード・パーク』1930年代のイギリスの上流階級の屋敷を垣間見る2時間の映画:ポッドキャスト【英国ドラマタイム】

ポッドキャスト「英国ドラマタイム」の書き起こし記事です。

番組では、イギリスの歴史ドラマ・映画の紹介や見た感想、ロケ地や時代のことなどを話しています。

今回のトークテーマは、1930年代のイギリスの上流階級の屋敷を垣間見る2時間の映画『ゴスフォード・パーク』についてです。

『ゴスフォード・パーク』1930年代のイギリスの上流階級の屋敷を垣間見る2時間の映画

こんにちは、英国ドラマタイムへようこそ。この番組は、イギリスの歴史ドラマの世界が大好きな私がその魅力を語る番組です。

おすすめのドラマや映画の紹介、似た感想、ロケ地や時代のことなどを話しています。

8月は、ジュリアンフェローズが手がけたドラマや映画を紹介しています。

今日は、2001年の映画、ゴスフォード・パークです。

裕福な実業家、マッコードル卿の邸宅、ゴスフォード・パークに招待されて、上流階級の屋敷を垣間見る、そんな体験ができる2時間の映画です。

イギリスの文化が好きな人や、ミステリーが好きな人におすすめしたい素晴らしい映画です。

たぶん、一度見ただけではその複雑さが理解できなくて、何度も見てしまう映画かもしれませんね。

見るたびに新たな発見があるので、何度も楽しめる映画です。

それは、映画が殺人事件の犯人を探すようなドラマではなくて、たくさんの登場人物が複雑に絡み合っていて、一人一人の奥底にある深い闇みたいなものが物語に関わっているからなんです。

お屋敷の中をあちこち迷いながら探索するように、人間ドラマの中をさまようような感じです。

ドスジナワではこれはいかないんですよね。

2時間の映画で、あの多くの登場人物でこれを見せているというのが本当にすごいです。

ジュリアン・フェローズは映画の脚本を手掛けていて、2002年のアカデミー脚本賞を受賞しています。

監督はロバート・アルトマンです。

物語は1932年の11月、雨が降っていてすごく寒そうな日にイギリス郊外にある豪華なカントリーハウスゴスフォードパークに週末のハンティングパーティーに招待された人たちがたくさん集まってきています。

屋敷の入り口では、主のマッコードル卿家族が招待客を出迎えていて、そして裏口の方ではその招待客が連れてきた使用人が加勢府庁から迎えられて指示を受けます。

雨のスタートですし、たくさん登場人物が出てきて、何かが起こりそうな予感が始めからプンプンしているんです。

招待された婦人の妹や夫たち、おばのトレンサの婦人や俳優や友人など、華やかなんだけど何か訳がありそうな人たちばかりです。

そしてその下では、屋敷の使用人に混じって招待客の使用人も一緒になって働きます。

そこでは自分の主人たちのゴシップに花を咲かせて盛り上がっています。

前半は登場人物の多さとどの人とどの人がつながっているのかというので、ちょっと頭がごちゃごちゃしてきます。

そして映画のちょうど真ん中ぐらいで、主のマッコドル卿の殺人事件が起こります。

事件の謎を受け入れると、巡査の登場によって後半は人々の秘密や対立がどんどん明らかになっていきます。

特にマッコドル卿の過去と彼が女性たちに対して行っていた卑劣な行為がわかるシーンはちょっと悲しくなりますね。

ここではあらすじはこの辺までにしておきます。

ゴスフォードパークの中は、1930年代のイギリスのカントリーハウスの美しさや豪華さにあふれています。

インテリアや広大な庭園、美しい衣装や宝石、音楽など雰囲気たっぷりです。

そこには残酷な人間社会の闇が積み込まれているのです。

それは階級社会の残酷さ。

上の階と下の階にある見えないんだけど高くて厚い壁。

贅沢な生活が遅れているのは使用人たちの日々の労働のおかげで、

彼らには自由のない厳しい環境に置かれているのです。

物語の始めの方で、婦人が雨の中、車に乗り込むシーンで、

使用人が、婦人が乗り込むまで、雨の中をびしょびしょになって立って待っているというところがあるのですが、

そこまでしないといけないのかなと、今の私たちなら思えてしまうのですが、

当時はそれが当たり前だったのでしょうね。

使用人が人間として見られていないんだなということが、すごくよくわかるシーンです。

そして、上と下の階、それだけじゃなくて、上には上の、下には下の中でも階級があるのです。

そして、人間の欲望と裏切りや愛の複雑とも登場します。

殺人事件をきっかけに、それぞれのキャラクターが抱えている秘密や野心が明るみに出てきます。

親子愛、家族愛、経済的な問題や愛人関係、過去の悪行などがどんどん登場して、緊張感が高まっていきます。

そして、社会の冷酷な現実、特にマッコードル卿が工場で働く女性たちを利用して、究極の選択を迫る姿勢は、当時の社会の冷たさを感じます。

女性たちは、職を失うか、子供を手放すかという究極の選択を迫られていたのです。

この映画が素晴らしいのは、そういった人間社会の不公平さを鋭くえぐっているのですが、登場人物一人ひとりの尊厳も描いているところだと思います。

例えば、使用人たちが厳しい環境の中でも誇りを持って連帯感を保ちながら生きている姿や、最後に希望も見えるところが泣きます。

美しい空間と音楽に満ちた場所で物語が進行していくのが、すごくオシャレであり皮肉もこもっていて、予想外な展開を楽しませてくれます。

さらに、俳優もイギリスのドラマや映画で見かける顔が本当にたくさん登場していて、これはすごく豪華です。

パッタンボルドアとマコゴナル先生の組み合わせだと気がついたり、バイオレットとスプラットがいると驚かされました。

今日は映画コスフォードパークを紹介しました。

次回はコスフォードパークの豪華なインテリアの露出地となっていたザイオンハウスについてです。

ぜひ聴いてくださいね。

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