ポッドキャスト「英国ドラマタイム」

#7『ダウントン・アビー』の魅力2 時代設定のうまさ:ポッドキャスト【英国ドラマタイム】

2024-11-27

ポッドキャスト「英国ドラマタイム」の書き起こし記事です。

番組では、イギリスの歴史ドラマ・映画の紹介や見た感想、ロケ地や時代のことなどを話しています。

今回のトークテーマは、『ダウントン・アビー』の2番目の魅力、時代設定のうまさです。

『ダウントン・アビー』の魅力2 時代設定のうまさ

「こんにちは。『英国ドラマタイム』へようこそ。この番組は、イギリスの歴史ドラマの世界が大好きな私が、その魅力を語る番組です。おすすめのドラマや映画の紹介や見た感想、ロケ地や時代のことなど、話しています。

7月は「ダウントン・アビー」の世界を深堀りしています。

今日は、ダウントンアビーの魅力2 時代設定 のうまさです

世の中が大きく変わっていく時期を選んでいて、その影響が大きく出た一つがカントリーハウスの生活だったからです。

どんな影響があったのか、挙げていくとたくさんありますが、やっぱり私はシーズン6の6話がすぐに頭に浮かびますね

ダウントン・アビーの見学会です。覚えていますか?

1925年の6月6日土曜日のことです。

病院の資金集めの名目で、入場料をとって屋敷の一部、一階のみを公開することになったのです。当時はまだイーディスの婚約者だったバーティーが、公開にあたって、監視役を置くこと、規制ロープを張ること、案内役が解説を行うことなどを提案していました。

見学会が終わり、食後のお茶を飲みながら、1日でまとまった資金が集まったことに家族は驚きます。見学会を恒例行事にして、屋敷の維持費に充てては??とトムが話していました。

伯爵は「金をもらって生活をのぞかせるのか?」と不満気なのですが、これが今では当たり前に行われていることですよね?でも初めは大きな決断だったはずです。

伯爵家の人たちには理解できなくても、貴族の生活やあの豪邸の中はどうなっているのかは一般市民には興味深々だったはずです。それは今でも全く同じ。このように屋敷を公開してお金を得ないと、巨大な屋敷を維持することが難しくなったのには色々な原因があります。

それをグッと押したのが、ドラマの中でも登場していた世界大戦と技術の進歩です。

シーズン1の最後覚えていますか?

我が国はドイツに宣戦布告をした・・・とロバートがガーデンパーティーでアナウンスしました。戦争で若い男性がたくさん亡くなり労働者が減少、そして貴族の跡取り息子もです。

シーズン5の1924年には、労働者の最低生活の補償や基礎産業の固有化を訴えて、正式政党になっていた労働党から初の首相が出たんです。ロバートも古き良き時代が終わってしまう・・・とぼやいていました。古き良き時代とか言っているけれど、それは自分にとってですよね。

シーズン2でメアリーの婚約者だった新聞社のオーナー、カーライルのように新しい富裕層も登場してきて、貴族制度が崩壊、財政難になっていきます。

ダウントン・アビーのような広大な領地を持っている地主は、土地を借して、そこからの収入で生活が支えられています。その農場からは、料理長のパットモアが使う肉、野菜をハーブを受け取り自由に使うことができます。マリーゴールドを育ててくれていたドリュー夫妻、はそんな農家の人として登場していました。

戦後、農業も大きく変化していきます。政府が大きな農園を分割して一部の土地が売却。これまで農地を借りていた人が自分で農場を購入して経営を始めていくわけです。

政府からの補助金が減少したりして、カントリーハウスの売却も増えていきます。ドラマの中でも、芸術品や家財などをオークションにかける貴族や、使用人を少なくしていく話なども登場していました。

イギリスでは1918年に男性には普通選挙権が与えられ、女性もかなりの条件付きですが初めての選挙権を手にしたのです。女性の地位向上もドラマの中では出てきてました。メアリーは、財産と権力を持つ男性との再婚でダウントンを安定させる伝統的な方法ではなく、産業と現代農業の手法を採用して、土地管理人のトムと協力していきます。イーディスも雑誌出版社を経営したり、シビルが女性参政権について意見を述べたり。メイドだったグエンがタイプライターの技術を身につけて、秘書に転職したり、デイジーが私も学びたいと、勉強をしていた時期もありました。

こうやって長いドラマの中で、伯爵家や使用人の人々の生活や考え方が変化していくのを私たちは見ているわけです。

変化を受け入れることはとっても大変です。でももっと大変なのは変わることを拒むことです。現状にしがみつくと、新しい可能性や経験を逃すことになって、結局自分が取り残されてしまうからです。

これってまさに今の時代もそうだなと思います。

ダウントンアビーの魅力、変化を描きつつ、普遍的なメッセージを伝えてくれることだと私は考えています。

今日はダウントンアビーの二つ目の魅力、時代設定のうまさでした。

次回は、前々回アンケートを募集していた、ドラマの中の好きな登場人物や場面についてです。

どうぞ聞いてくださいね。


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