カントリーハウス図鑑

【ハム・ハウス(Ham House】テムズ川沿いの邸宅で17世紀にタイムスリップ

2023-05-07

英国貴族の自然に囲まれた地方の邸宅であるカントリーハウスは、ほとんどが車でなければなかなか行くことができない場所にあります。
でもこのハム・ハウスは、ロンドンの中心部から電車やバスでも行くことができる場所の一つ。

場所はロンドンの南西部、リッチモンドにあります。
リッチモンドは、リッチモンド宮殿やハンプトンコート宮殿、ウィンザー城へのアクセスが便利な歴史的に重要な場所でもあったんです。

現在は、テムズ川沿いに豪華な物件が建ち並ぶ高級住宅エリア。
テムズ川沿いの景色だけではなくて、リッチモンドパークやキューガーデンという広大な庭園もある自然豊かな場所であることが魅力。
リッチモンド・パークは、ロンドンにある8つの王立公園の1つで、その広さは東京ドーム200以上なのだとか・・・

ハム・ハウスを作り上げた人々は、国王チャールズ1世や2世と強い繋がりがある人物。邸宅は作られた17世紀の姿を今にもとどめているとても貴重な建物。

17世紀にタイムトリップしたような体験ができるこのお屋敷を少しのぞいてみませんか?

ハム・ハウスの歴史ー国王チャールス1世と2世とのつながり

ハム・ハウスの歴史を紐解いていくと、1626年に国王チャールズ1世から、ウィリアム・マレー (Willima Murray)が建物とその敷地の賃貸権を贈られるところから始まります。

ウィリアムは、子供のころチャールズ1世と教育を受け、その後彼の宮廷に仕えたとても親しい間柄。建築やインテリアにも詳しかったウィリアムは、1637年からハム・ハウスの改装を始めます。

1642年に国王チャールズ1世と議会の長年の対立が、武力衝突へと発展します。これがピューリタン革命と呼ばれている内戦で、ウィリアムはチャールズ1世を助けるため奮闘します。

しかし、結果は1649年にチャールズ1世は処刑され、その後10年間イギリスは共和国国家になります。

ウィリアムの娘エリザベスは、父親からきちんとした教育環境を与えられて育ちました。(上の肖像画はエリザベス)女性は嫁いで子供を産むことが大きな役割だった時代ですから、これは当時としてはかなり珍しかったはずです。

その後ダイサート伯爵夫人となったエリザベスは、1655年に父親が亡くなると、反王国主義の風潮の中でうまく立ち回り、領地を管理するようになっていきます。

さらに、チャールズ1世の処刑後、フランスへ亡命していた王子(のちのチャールズ2世)へ、国王派からのメッセージを送り、彼に会いにいくなどして支えるのです。行動的な人だったのですね。

チャールズ2世が王座についてしばらくした1672年、46歳のエリザベスは2度目の結婚をします。お相手は、内閣であり裕福なローダーデール公爵(Duke of Landerdale)。この時がハム・ハウスの最も豊かな時代だったと言われています。

ハム・ハウスのインテリア

ここからはハムハウスの中を少し見てみましょう。

両側の壁に肖像画がずらりと並ぶこの部屋は、ロングギャラリーと呼ばれる部屋。細長い廊下のような部屋です。

ウィリアムとエリザベス父娘は、屋敷の改築に力を入れていきます。外国から職人を雇い、異国風の家具なども購入していきます。
1630年代の日本の漆のキャビネットもコレクションとして残っているんのですよ。

エリザベスの死後、屋敷は彼女の最初の夫と子供が引き継ぎ、その後300年Tollemache家の所有として引き継がれていきます。
その間、建物やインテリアはほとんど手を加えられることなく、1948年にナショナル・トラストへ所有権が移されました。

そのおかげで、私たちは17世紀の貴重な建物を見学できるというわけです!!

フォーマルガーデン

トピアリーと呼ばれるかわいい形をした木が美しい模様のように並んでいる、ハムハウスのフォーマルガーデン。
中央に背中が見える彫刻はバッカス像です。

テムズ川がすぐそばに

屋敷の正面玄関からほんの少し歩いていくと、目の前にはテムズ川が広がります。
テムズ川はロンドンの中心を流れている川で、ボートクルーズを楽しみながらリッチモンドまで来ることができます。

ずいぶんと前のことですが、テムズ川が氾濫しているのを知らずに遊びに行ったことがあり、そばの道を友人と靴を脱いで歩いたことをよく覚えてます・・・笑。懐かしい思い出。

ハム・ハウスという名前、ハムというとあのハムがすぐに頭に浮かんでしまってどんな意味があるのだろうと気になりませんか?古英語の「hamm」に由来しており、これは川や湿地帯の土地を意味しているのだそうです。

ハム・ハウス Ham House

Ham House
住所 : Ham Street, Ham, Richmond-upon-Thames, TW10 7RS U.K.
ホームページ : http://www.nationaltrust.org.uk/ham-house/

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