カントリーハウスについて

初めて電気の灯りがついたイギリスのカントリー・ハウスは?

「イギリスのカントリー・ハウスはいつ電気の照明を使うようになった?」

ドラマ『ダウンタウン・アビー』の中でも電気の照明が眩しすぎる…とグランサム伯爵夫人が嫌そうな顔をしてる場面があったの覚えてますか?

カントリー・ハウスでも昔はろうそくの明かりで生活していたので、灯したり、消したりという作業は使用人たちの大きな役割の一つだったはず。特に巨大な建物だとその管理だけでどれだけ時間がかかったのだろうと思います。

カントリー・ハウスの講座に参加してくださった方からこの質問をいただいて、調べているとイギリスの発明家2人にたどりつきました。

初めて電気が使われたカントリー・ハウスはどこだったのか?
その歴史的瞬間に関わった2人の人物について紹介します。

初めて電気の灯りが灯ったクラッグサイド

初めてカントリーハウスに電気ランプが点ったのは、1880年12月のことです。

その場所は、クラッグサイドという、ノーサンバーランド州というイングランドの北にある地域。
スコットランドにもかなり近い場所にあります。

画像を見てもわかる通り、かなり雰囲気のある外観でしょ?

この外観と初めて電気が通ったことは、後になって結構結びつくと思いますよ。

電球を発明したジョセフ・スワン

電球を発明したのはエジソンと言われてますが、実はイギリス人でニューカッスルの科学者ジョセフ・スワンが実用的なランプを開発し照明にしたのだそうです。

上の写真はスワンの家につけられた記念碑。
書かれているのはこのようなことです。

サー・ジョセフ・ウィルソン・スワン 1828-1914
1869年から1883年にここに住んでいました。
物理学者で化学者で、ここでの彼の実験は、最初の電球を発明することにつながりました。
アンダーヒルは家庭用電気照明用に配線された世界で最初の家でした。

彼は世界初の電球工場を設立。

エジソンはそんなスワンとビジネスパートナーになり特許をとり安く長持ちする電球を生み出すという、電気照明を広く普及させることを実現したことで評価されているそうです。
エジソンは開発しようとしてましたが成功しなかった。
電球に関しては実業家なんですね。

イギリスには実はこのように発明成功で世界初とか、発祥の人や場所が多くあり驚くことあります。
写真の技術も特許の申請だったかに遅れをとり、フランスに先を越されたんだったはず。
こちらもカントリーハウスの住人の発明!!
カントリー・ハウスを持つ人ですから、財力もネットワークもあり当然と言えば当然ですね。

ジョセフ・スワンのランプはまずは自宅を照らし、その後クラッグサイドだったのですが、なぜこのお屋敷だったと思いますか??

スワン氏は、クラッグサイドの主人と友人だったのです。

発明家で実業家のウィリアム・アームストロング

クラッグサイドは、発明家・エンジニアであり実業家であるウィリアム・アームストロング卿と、自然科学に情熱を捧げるマーガレット・アームストロング女史というご夫婦の邸宅でした。

アームストロング卿は、ニューカッスルのエルズウィック工場のオーナーで、最盛期には25,000人以上を雇用し、油圧クレーン、船舶、軍備の製造に携わっていました。
そしてニューカッスルのスウィングブリッジと、ロンドンのタワーブリッジを動かす油圧機構を制作しました。

さらに自宅で世界初の水力発電所を建設。
川をせき止めて湖を作り、人工の滝を作って、発電機を動かしていたそうです。

スワンは自分の新しい発明品の電気ランプを自宅で使ってみないか?とアームストロングに提案したというわけです。

こちらがそのファーストランプの一つ

七宝の模様が美しい花瓶を土台に白熱ランプが着いています。
発明家が作ったファーストランプなんて味気ないものなんだろうという予想を大きく外してびっくり。
さすがアームストロング氏はアートにも関心が高かった方なのでこんな美しいランプだったのではないでしょうか?

まとめ

今回の記事に書いたことを調べていたのは2年ほど前。
それからクラッグサイドに行きたいなと漠然と思っていたら、2023年それが実現することになりました。
クラッグサイドはその他にも日本とのつながりやアートコレクションなど他にも興味深い話がたくさん出てきそうです!

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