ブリジャートン家 映画・ドラマの中のカントリーハウス

『ブリジャートン家」ダフネとサイモンの心がつながる絵画鑑賞

2024-06-01

ブリジャートン家のドラマの中では、たくさんの絵画が登場します。

その中でサイモンとダフネが一緒に絵を鑑賞するシーンがあります。このシーンは2人の心がつながる瞬間で、シーズン1でもトップに入る重要な画面です。

サイモンが家族について話し始めるところから、2人の心の交流が丁寧に描かれています。ダフネが絵の良さを語ることで、母に会ったことのないサイモンにとって、ダフネが大切な女性になる瞬間なのです。

絆の深まる象徴的なシーンを深堀して、さらに当時の社交界とアートの関係についても見ていきましょう。

シーズン1の重要な場面:ダフネとサイモンの絵画鑑賞

『ブリジャートン家』シーズン1のエピソード3のサイモンとダフネが一緒に絵画鑑賞するシーンを覚えていますか?

この場面は、2人の心がつながって、指が絡むとても重要な瞬間で感動的です。

貴族の女性には必須のアイテムの手袋。食事以外はほとんど手袋をはめています。ドラマの中ではダフネが手袋を脱ぐ場面が何度か登場していましたが、かなり刺激的に描かれていました。

手袋を脱ぐ。今なら考えられないけれどきっと人前で服を脱ぐようなくらい恥ずかしいこと、近しい人の前だけのことだったはずです。だからこそ、この画面で手袋を脱いだ2人の手が触れ合った瞬間は重要なんです。

まず初め2人は背中を向けてそれぞれ別の絵を見ていますが、ダフネが振り向き上記の絵を見ます。

サイモンとダフネが一緒に見ている絵

「エジプトへの逃避途上の風景」
アルベルト・カイプ 1650年ごろ
メトロポリタン美術館、ニューヨーク所蔵

※この絵は実際に存在する絵なんですよ!

ダフネはこの絵が他の絵と違う雰囲気であることをすぐに感じとります。

他の絵はサイモンの父前ヘイスティング公爵の絵画コレクション。でもこの絵はサイモンを出産後すぐに亡くなってしまった母が愛していた絵画なのです。

サイモンがそうやってめずらしく自分の家族について話します。アンソニーから彼は家族のことを話さないと聞いていたダフネは驚いたはずです。

この場面の詳細をドラマのプロデューサー、クリス・ヴァン・デューセンはXで公開してました。

ここからダフネが絵について語るセリフを見てみます!

It reminds me of waking up in the country.
First thing in the morning, when I am all alone and have not spoken to a soul.
And I look out the window and it is…Serene.
As if I could be the only person left in the world, and yet somehow…I am not lonely.
I am comforted. At peace.
The others are certainly very grand and impressive, but this one…This one is intimate.

この絵は田舎で目覚める朝のことを思い出させてくれる。
朝一番、まだ誰とも話してない時、一人きりで。
窓の外を見ると、本当に静かで・・・
まるで世界に私一人だけしかいないような気がするけれど、なぜか…寂しくはないの。
心が落ち着いて、すごく安らかな気持ちになる。
他の絵も確かにとても壮大で印象的なんだけど、この絵は…この絵はすごく親密な感じがする。

ダフネの心から溢れる感想を聞き、サイモンは母がなぜこの絵を好きだったのか気がつきます。ダフネの目を通して母が見ていたものに気がつく瞬間。

わずかな時間のことですが、ダフネの言葉からは自然を愛するとても豊かな感受性を持っていることや、1人で静かに自分との対話を楽しむ安らぎかたを知っている成熟した女性であることが伝わってきます。

その後、二人の手が自然と寄り添う場面になります。

美しい絵に吸い込まれるように見つめるサイモンの表情に注目。本当に美しいシーンだと思います!

この絵画鑑賞シーンは、ダフネとサイモンの関係を深める重要なきっかけとなりました。リージェンシー時代において、アート鑑賞も重要な社交活動だったのです。次はそのことについて少し触れたいと思います。

社交界とアートの関係

リージェンシー時代において、アート鑑賞は重要な社交活動でした。

当時、オランダ絵画もイギリスで人気がありました。サイモンとダフネが見ていた絵画も、おそらくその一つ。オランダの画家アルベルト・カイプの風景画です。これらの絵画は、その写実的な表現と豊かな色彩で人々を魅了しました。

サイモンとダフネが訪れていた展覧会はロイヤルアカデミー(王立芸術院)の展覧会で、当時サマセットハウスで開催されていました。多くの人がここから絵画を購入し、自分のコレクションを充実させていたのです。

サイモンは父のコレクションを寄贈していてそれを見ていたようです。

このように貴族や名士がどのようにして芸術を保護・保存してきたかについてもドラマでは教えてくれます。

ダフネとサイモンの絵画鑑賞シーンは、両親の絵画の好みの違いを反映しています。父親と母親の好みの違いが、彼らの個性や家族の価値観にどのように影響を与えているかを考えると、とても興味深いですね。

まとめとおまけ

いかがでしたか?再びこの場面を見返したくなる方がいれば嬉しいなと思います。

2人が見ていた絵ですが、アメリカのメトロポリタン美術館に実際に存在する絵のようです。撮影はもちろん本物ではないと思うのですが・・・

絵を繰り返しよく見ていて気が付いたのですが、展覧会で2人が鑑賞していた時とロンドンのヘイスティング公爵邸で荷物と一緒にまとめられていた場面とでは額縁が違うように見えました。

もしかしたら壁にかかっていたものが本物で、邸宅にあったのは撮影用の絵なのか??想像の域をでないですが・・・

この絵画については、こちらのブログでも詳しく解説しています。

アルベルト・カイプの『エジプトへの逃避途上の風景』【365日絵のなかで旅をする】 - Cosiness and Adventure
アルベルト・カイプの『エジプトへの逃避途上の風景』【365日絵のなかで旅をする】 - Cosiness and Adventure

今回の旅は、聖書の風景と想像上の風景が融合した世界への旅です。 オランダの画家、アルベルト・カイプの描いた風景画の世界です。この絵には彼の絵の特徴が盛り込まれています、牛・動物・川・光に美しく照らされ

cosinessandadventure.com



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