ギルデッド・エイジ 映画・ドラマの中のカントリーハウス

『ギルデット・エイジーニューヨーク黄金時代』シーズン3:誰がこの家を動かしているのか?

2025-06-23

『ギルデッド・エイジ』の新シーズンが、2025年6月22日からスタートしました!!

シーズン2の終盤で描かれていた数々の火種が、シーズン3ではついに動き出します。

女主人の座を妹エイダに奪われたことに、どうしても納得できないアグネス。
そんな中、ペギーにはある“特別な出会い”が訪れるが、その未来は決して平坦ではない。
さらなる頂点を目指すバートラは、グラディスとバッキンガム公爵との婚約を目論み、
ジョージは、国家を揺るがす規模の鉄道事業にすべてを懸けていく。

それぞれの思惑が交差し、試されるのは──「本当に守りたいものは何か」。

まだ始まったばかりのシーズン3。静かに、しかし確実に動き出した“次なる時代の主導権争い”から目が離せません。

ここでは、1話ずつ楽しみながらあらすじをご紹介していきます(※ネタバレを含みますのでご注意ください)。

▼シーズン1と2のあらすじはこちらから

第1話あらすじ:「Who Is In Charge Here?」(決定権を持つ者)」

始まりは、アリゾナ州モレンシー。ジョージ・ラッセルは西部に到着します。
そしてニューヨークでは季節外れの大雪の中、通りを隔ててラッセル家とヴァンライン家の使用人たちが雪合戦をしている光景が・・・

【ラッセル家】

社交界の頂点を狙う母と、愛を選びたい娘。そして、父はまだ知らない。

バーサ・ラッセルは、すでに次の勝利に向けて動き出していた。間もなく訪れるバッキンガム公爵のため、新聞に来訪情報をリークし、世間の注目を集め、画家ジョン・シンガー・サージェントには、娘グラディスの肖像画を依頼。まるで社交界デビューの準備そのもの。

でもグラディスの心は公爵にはない。密かに愛を育むのは、ビリー・カールトン。2人の関係を知る兄ラリーは、母の圧力から妹を守ろうとするけれど、バーサの野望は止まりません。

その頃、ジョージ・ラッセルはまだ何も知らずに、西部の土地買収に奔走していた。彼が描くのは、「NYとLAを最短距離で結ぶ、国家規模の鉄道構想」。ルートはシカゴ経由、運賃収入の期待と建設費の半分を政府補助金でまかなうという、空前の規模。鉱山主たちとの交渉を、仲介人ジョン・レンジャーに託し、彼は土地の確保に全力を注いでいる。

【ヴァン・ライン家】

地位は妹に、誇りは姉に。奥様の座は譲っても、主導権は譲らない。

遺産を手にし“奥様”となった妹エイダは、夫の遺志を継ぎ、禁酒運動への支援に動き始める。でも、姉アグネスはその活動を快く思っていない。2人から異なる命令が下ることで、使用人たちは戸惑い、屋敷の空気は揺らぐ。

マリアンは、週3日間の教職を始め、新しい人生の一歩を踏み出す。その一方で、オスカーは相変わらず働く気配を見せず、母アグネスの不安は募るばかりです。

静かに進行する、それぞれの変化・・・

マリアンとラリー
ラリーは真剣な気持ちでマリアンとの関係を進めたいと願っているが、過去に2度の婚約破棄を経験したマリアンは慎重。「今度こそ、失敗したくない」──そう語る彼女の目は、決意と不安で揺れています。

オーロラ・フェイン
夫チャールズから、突然「別れたい」と告げられる。理由は“他に愛する女性ができた”から。
でも問題は法律で、紳士側からは離婚が言い出せない時代。罪のないオーロラが、裁判を起こさねばならないという理不尽な状況です。しかも社交界は離婚女性に冷たく、アグネスでさえ「公の場ではもう招けない」と言い出すのです。

ジャック・トロッター
ヴァン・ライン家の使用人のジャックは、ラリーと共に発明品の事業を軌道に乗せつつあるが、使用人が“主人と並ぶ存在”になることに、ラッセル家の使用人たちは冷ややか。階級を越える挑戦には、味方だけでなく、見えない敵も多い。

ペギー・スコット
小説連載が始まり、筆も乗る中で風邪に倒れる。しかし、アグネスが呼んだ医師は、彼女の肌の色を見た瞬間に、診察もせず帰ってしまう。アグネスは怒りを抑えられない。

第1話を観て・・・

今回とっても嬉しかったのは、実在の画家ジョン・シンガー・サージェントの登場。彼の描く肖像画は上品で華やかで、バーサが彼に依頼するのも納得です。会話の中で2つの肖像画が登場します。一つは有名な「マダムX」。そしてもう一つは多分こちらの肖像画だと思われます。

サージェントが描くグラディスの絵は、きっと公爵の前で披露されるのでは?と想像しています。楽しみです。

オーロラの離婚危機は意外でした。2人はいい関係に見えていたので。愛人を作り、一方的に離婚しろと告げるチャールズにびっくりです。そしてそれ以上に法律上紳士からは離婚を言い出せないから、とにかく離婚をしてくれと迫られるなんて。どうなるのかこちらも気になります。

第2話あらすじ:「What the Papers Say」(新聞によると)

第1話はグラディスがこっそりと家を抜け出して行ったところで終わりました。

その行き先がわかったバーサ・ラッセルは、恋に突っ走る娘グラディスを連れ戻すべく、カールトン家に乗り込みます。そして母親に向かって、静かに、しかし鋭く告げるのです──
「もしビリーと結婚するようなことがあれば、ジョージは彼のキャリアを潰すだけじゃない。グラディスの財産も、跡継ぎの座も失われるわ」と。

一方で、ペギーは病に倒れます。そんな彼女の元に駆けつけたのは、ペギーの両親と黒人医師のカークランド。当時、黒人が専門職として白人の家庭に入るのは非常に珍しく、ましてや医師として診察するなど前例のないこと。ヴァン・ライン家の状況は、周囲の目には“非常識”と映る選択でしたが、アグネスたちは迷いませんでした。

鉄道王ジョージ・ラッセルは、銀行の危機を救い、莫大な計画をJP・モルガンに提示します。けれどその野望は、リスクが大きすぎるとにべもなく切り捨てられるのでした。

娘の結婚をめぐって対立する妻バーサと娘グラディスに板挟みのジョージは、ただ沈黙を選びます。しかしその裏でバーサは手を打っていました・・・グラディスとバッキンガム公爵との噂話を、マスコミに“うっかり”漏らしたのです。

オーロラの元夫チャールズは、なんと愛人リプトン夫人を引き連れて、自宅で開催していたチャリティ・イベントに登場。「これからも彼女と、どこにでも現れるつもりだ」と堂々と宣言します。オーロラは離婚を拒んでいるものの、その姿勢が揺らぎ始めます。

ビリーは、グラディスへの想いを断ち切るしかないと思い知らされます。なんでも相手はあのジョージとバーサです。若者の情熱では太刀打ちできない、ラッセル家の巨大な“壁”がそこにありました。

そんな矢先、公爵が弁護士とともにラッセル家を訪問。彼の真意は…?

一方、ペギーには新たな扉が開かれようとしています。ニューポートの女性団体が、彼女に「スピーチをしてほしい」と声をかけてきたのです。過去と向き合い、声を上げる時が来たのでしょうか。

恋も、権力も、過去も・・・すべてが交錯し、次なる嵐の気配が近づいているようです。

第2話を観て・・・

アグネスと、ペギーの両親スコット夫妻との会話がとっても印象的でした。

偏見や差別のない対応に驚く2人に対して、アグネスはうちは礼儀を大切にと育ったからだと答えます。それでもあなたの礼儀だけでは、娘は救えなかったではないかと反論されます。そのうちに、子供だったオスカーが腸チフスにかかり看病した時の話題に。治療もない状態で死ぬかもしれないなか看病していたのだと。

そんな会話を経て、母親通しが少し心を通わす場面でした。

アグネスの強い信念とか、周囲に流されないところにいつも感心させられていたのですが、今回はこういう自分の弱さもさらっと人に話せてしまうアグネスにまたまた驚かされました。プライドの塊の人ではないのだと。

反対に、アスター夫人はやはり好きになれないなぁ。

第3話あらすじ:「Love Is Never Easy」(愛は困難を伴う)

ニューヨーク社交界の荒波は、今夜も穏やかにはいきません。

グラディスとの結婚で、ジョージが提示した莫大な持参金の申し出を、なんと公爵ヘクターが拒否。すると翌朝ジョージは一計を案じ、「娘グラディス個人に支払う手当」という形で追加の資金援助を申し出ます。けれども、公爵はそれにも応じず、憤然と立ち去ってしまいます。驚くバーサに対し、「君の問題だ。私は手を引く」とジョージは言います。

一方、バーサのメイドが、マリアンとラリーがキスをしている場面を目撃してしまい、マリアンは「評判が落ちるのでは」と不安を募らせます。清らかでないといけないはずの未婚女性が誘惑している思われてのではないかということです。マリアンは、かつてのラリーと歳上未亡人との噂にも不安を抱いていたのですが、エイダから「あなた自身が分別と理想を保てば大丈夫」とアドバイスされ安心します。

舞台は避暑地ニューポートへ。ペギーとその両親スコット夫妻は、医師カークランドの裕福な一家と顔を合わせます。けれど、カークランド夫人は、ペギーの父が元奴隷でありながら薬局で成功を収めた人物だと知ると、露骨に“格下”扱い。

そんな中、ラリーとジャックは投資家との再挑戦に挑みますが、またしても成果は得られず…。しかし、ジャックは少しずつ自信をつけていきます。従僕をしながら事業をするジャックをヴァン・ライン家の全員が見守っています。そしてオスカーの方も着実に新たなビジネス顧客を手に入れていました。

一方、慈善活動において姉アグネスの“役割”を知らず知らずのうちに引き継いでしまったエイダは、使用人たちが姉にばかり従っているように感じて、居心地の悪さを覚えます。姉妹の微妙な力関係が、静かに揺らぎはじめていました。

そして、エイダが取り組んできた禁酒運動も思うように進まず、誓約書にサインしたのはアームストロングだけ。「亡きルークの遺志を継ぐ」という想いが叶わなかったと落ち込むエイダに、コックのバウアー夫人は優しく語りかけます。そして、エイダが“ルークに語りかける方法”として、ある提案をするのです──。

そんななか、オペラの夜。公爵ヘクターが銀行家で海運業家の若き令嬢デランシーと連れ立って現れたことに危機感を覚えたバーサは、改めて公爵にジョージの提案を再考するよう説得します。「いずれ、娘グラディスの手当も“支配下”に置けるのだから」と・・・

さらに、グラディスはかつて心を寄せていた青年ビリーが別の人生を歩み始めたと知り、苦渋の決断をします──公爵との結婚を受け入れるのです。サージェントの描いたグラディスの肖像画が披露され、婚約の発表。心ここにあらずのグラディスの首から、糸が切れた真珠が床にこぼれ落ちます・・・

第3話を観て・・・

バッキンガム公爵の頭には、結婚に関して完全にお金のことしかないことが、ジョージとの会話でわかります。持参金の額が少ないと話が違うと言う。増額されても、その分を運用し半年に一度グラディスに入ると聞かされると、「私にでは?邸宅が荒れてもいいのか?」と。

こんな感じで結婚してもグラディスが幸せになれるわけがない。それでもバーサが無理矢理に嫁がせるわけですが、そこまでして公爵夫人にさせたいのか・・・・本当に驚きです。

まぁ実際にこのような政略結婚が実際にはたくさんあったわけで、同情しかありません。でもそのおかげでカントリーハウスが今でも残っている?とも思うと複雑ですね。

第4話「Marriage Is a Gamble」(結婚はギャンブル)

いよいよラッセル家とバッキンガム公爵家の結婚式が目前に迫るなか、グラディスは部屋にこもったまま。果たして彼女は、本当にあの公爵と結婚するのか…? 答えはまだ出ていません。

そんな中、ラリーはバーサ側の唯一の親戚、叔母のモニカ・オブライエンを式に招待しますが、バーサは「ニューヨークの格式にはふさわしくない」と持ってきた衣装にも数も足りないと不満。朝の買い物に執筆用、次に昼食や訪問用、そして夕食用とオペラや舞踏会用が必要だと。

さらにイギリスからは、公爵の姉でこれまた高慢なレディ・サラが到着し、空気はますます張り詰めていきます。

新聞にはラッセル家の内情が掲載されることが続きます。誰が情報を流しているのかバーサの怒りが収まりません。

式の準備が慌ただしく進む中、ラリーの提案で、体調を崩したブライズメイドの代役としてマリアンが急きょ抜擢されることに。バーサからの信頼が高まる一方で、マリアンの立ち位置も複雑になっていきます。

一方、エイダはなんと霊能者マダム・ダシュコヴァを家に招き、亡き恋人ルークとのつながりを探ろうとします。この行動に、姉アグネスは激怒。姉妹の関係に再びひびが入ります。

そんな中、ラリーとジャックの起業プロジェクトに大きな転機が! 二人が手がけてきた“時計の特許”を、なんと60万ドルで売却(現代の価値にして約2000万ドル=約30億円!)。一夜にして大金持ちとなったジャックは、そのことを誰にも打ち明けないまま、これからの人生について静かに考えはじめます。

そして舞台は再びニューポートへ。ここでもペギーの父スコット氏に対し、ペギーの講演会のトピック選びに対し、何か一言嫌味を付け加えるカークランド夫人にみんなが辟易します。

一方で社交界はスキャンダルでざわついています。アスター夫人の娘シャーロットが、新聞に報じられた不名誉な事件に関わっていると知り、母は怒り心頭。さらに、ウィンタートン夫人が「自分も実は…」と何か秘密を打ち明けかけたところで話を切り上げ、夫が重病であることだけを明かします。その素性にはまだまだ謎が残ります。

そんな中、屋敷の料理長ブルース夫人には嬉しいプロポーズが──。執事ボーデンが結婚を申し込むのです。しかし、ブルース夫人はある秘密を抱えていました。彼女の夫は精神疾患で長年施設に入っており、いまだ離婚もしていないというのです。

結婚式当日、なかなか降りてこないグラディスにジョージは言います。「こんなことになって本当に申し訳ない。お前を見捨てたような気持ちだ。でも逃げ道はない。決断は自分で。私は下で待っているけれど、10分待っても降りてこなかったら教会に連絡する。」と。

グラディスはとうとう決意。花で飾られた美しい階段を降りて、使用人たちから拍手を受けて馬車に乗り込みます。

教会ではベールの下には涙をいっぱい溜めて、ヘクターの待つ祭壇へ。喜びと誇りでいっぱいのバーサですが、モニカ、ジョージもラリーも心配そうな顔。これからも何かが起こりそうな雰囲気たっぷりです。アスター夫人の一言が全てを表していました。「ラッセル夫人の勝利ね。不思議ね、3年前までは誰も彼女を知らなかったのに」

そして場所は船の上に。新婚旅行を兼ねて、すぐにイギリスへと旅立っていくのでした──。

第4話を観て・・・

目覚まし時計の特許を売却し、大金を手にしたジャック。一生時計の仕事をすると思っていた・・・とラリーに話します。

そうなんだなぁーこれがお金持ちのビジネスなんだなと実感。日々働いてその対価を得るという働き方をしていると、こういう視点は持つことができないなぁと。ジャックとラリーの動きを見ていて、ジャックが騙されてしまうのでは・・・と実は心配していたのですが、やはりラリーはいい人でした。良かった。でも雇い主と同じくらいの資産家になったジャックはこれからどうなるのでしょうか。

第5話「A Different World」(異なる世界)

「公爵夫人になることが、こんなにも苦しいなんて──」

結婚して間もないグラディスは、新天地イギリスで孤独な戦いを強いられていました。彼女の前に立ちはだかるのは、公爵ヘクターの冷淡な姉レディ・サラ。冷ややかな視線と嫌味な言葉が日々グラディスを追い詰めますが、肝心の夫ヘクターは何もしてくれません。その無関心さに、彼女の心は次第にすり減っていきます。

一方ニューヨークでは、新聞に家族の秘密が漏れていることにバーサが激怒。執事チャーチに、情報を流している人物を突き止めるよう命じます。

ジョージもまた、難題に直面していました。中西部に鉄道を延ばすために必要な土地を獲得できず、担当者クレイを即刻解雇。けれどクレイは「あなたの財政は不安定だ」と不穏な忠告を残して去っていきます。ジョージは鉄道拡張のカギを握るイリノイ・セントラル鉄道の大株主メリック家に接近するも、株の買収は失敗に終わります。

その間、ラリーは土地交渉のためアリゾナへ向かう準備を進めていました。彼の狙いは土地だけでなく、そこに眠るかもしれない銅鉱山の価値にもあります。

そして──ついにラリーとマリアンが婚約!二人の幸せは、しかしアグネスとバーサという“鉄の女たち”にとっては予想外の展開。両家の思惑が大きく揺らぎ始めます。

そんな中、ジャックが時計特許の売却で莫大な財を手にしたことがヴァン・ライン家に知れ渡り、家中がざわつきます。ラリーはそのジャックを連れて「ヘイマーケット」という危険な大人のクラブへ。そこで偶然、かつてオスカーを騙して一文無しにしたモード・ビートンが、娼婦として働いている姿を目にします。衝撃を受けたラリーは、オスカーにその事実を打ち明けます。

イギリスでは、レディ・サラがグラディスの侍女アーデルハイドを解雇。ついに耐えきれなくなったグラディスは、家族に向けて電報を打ちます──「助けて」と。

一方、ペギーはかつての上司でグローブ紙のフォーチュンからフィラデルフィアでの仕事を依頼され、旅立つことに。ところが駅に現れたフォーチュンが同行しようとするのを見て、ペギーは反発。そこに現れたカークランド医師が彼女を守り、フォーチュンを一喝します。

エイダはまたもや密かに霊能者マダム・ダシュコヴァを訪問。亡き恋人ルークとの“つながり”を求める気持ちは、消えていませんでした。

そしてニューポートでは、社交界の名物夫人ミセス・フィッシュがアスター夫人に激怒。「あなたがオーロラを冷遇するのはおかしい」と叱責。スキャンダルを起こした自分の娘のことを棚に上げている、と痛烈な皮肉を浴びせます。

そして物語の終盤──グラディスからの助けを求める電報を読んだジョージがついにバーサに激怒し強く詰め寄ります。「あの娘をこんな目に遭わせて、君はどう責任を取るつもりなんだ!」追い詰められたバーサは、必ずこの失敗を挽回すると誓うのでした。

第5話を観て・・・

イギリスのカントリーハウス好きとしては、この5話の始まりはちょっとドキドキしてしまいました。グラディスと公爵を乗せた馬車は田園地帯を走り、公爵の住む大邸宅へ向かいます。辿り着いたのは、17世紀に建てられたという設定の広大なシドマス城。門をくぐってから馬車で30分、ようやく到着するというスケール感です。

華やかなニューヨークのラッセル家とは対照的に、灰色で静まり返ったこの城は、どこか冷たく、重たい空気に包まれています。まるでグラディスの胸の内──不安、孤独、戸惑い──を映し出すかのよう。

で、気になるロケ地ですが……なんとこのお城、イギリスではないのだとか!アメリカ・ロードアイランド州ニューポートの2つの邸宅と、ロングアイランドの豪邸。それぞれの特徴を組み合わせ、見事に架空の古城を作り上げた。

ドラマ冒頭の、池に馬車が映る印象的なショットだけは、実際にイギリスで撮影された風景。水面に逆さに映る馬車が、やがて田園を駆け抜け、ニューポートの邸宅へとつながっていく…という、見事な映像演出でした。すごい!!

異国の地で始まる、グラディスの新たな人生。その第一歩を描いたエピソードのタイトルは、『A Different World』。まさに、ぴったりすぎるタイトルでした。

でも結末はどうなるのだろう。ジュリアン・フェローズが主人公の娘を不幸な結婚生活とやがて離婚というボロボロな設定にするとは考えられない。でもこんな状況からヘクターやレディ・サラとグラディスがうまくいくとしたら、物語が出来すぎている・・・フェローズが描く物語に最後まで目が離せません。

第6話「If You Want to Cook an Omelette」(成功の代償)

バーサは娘グラディスに会いにイギリスまでやってきた。レディ・サラが全てを決めて、グラディスだけでなく、ヘクターも何も言えない状況に驚くが、バーサは帰国前、グラディスに「公爵夫人として堂々とふるまいなさい」と励まし、レディ・サラに対して自分の考えを伝えられるよう後押しする。グラディスが少しずつ自分の意思を持ち始め、力を示していく。

アメリカでは、大富豪J.P.モルガンが鉄道会社「イリノイ・セントラル・ライン」の経営権をめぐって、ジョージ、メリック兄弟、セージを自邸に呼び集める。なんとセージのパートナーとして、ジョージが解雇したクレイも来ていた。ジョージは巧みな交渉でメリック兄弟の株を買い取ることに成功するが、クレイが彼に不利な虚偽記事をメディアに流し、兄弟は態度を翻す。資金が足りなくなったジョージは、セージに株を売るよう持ちかけられるが、それだけは拒否。孤立しながらも、信念を貫こうとする。

一方、マリアンは、婚約者のラリーが婚約発表したその夜に、売春宿「ヘイマーケット」にいたことを知り疑念が生まれる。別れの手紙を残し、婚約を解消する。その頃、ラリーはアリゾナで鉱山を訪れており、そこで巨大な銅鉱脈が見つかったという知らせを受ける。この発見は、吉となるのか?

オスカーは、かつて心を寄せていて、そして全財産を奪われたモード・ビートンに再び会い、詐欺師クロウザーに騙されていたことを知る。そして彼女の再出発のために、オハイオ行きの列車のチケットと100ドルを渡す。

エイダは霊能者ダシコヴァ夫人のもとを訪れるが、すぐにその嘘を見抜き、騙されたと言って立ち去る。さらに、従僕のジャックに「自分の力で人生を歩むときが来た」と伝える。翌日ジャックは皆に宛てた手紙と金を残し、静かに感謝の思いを伝え屋敷を出ていく。

ペギーは女性の権利運動家フランシス・ワトキンス・ハーパーを迎えてお茶会を開くが、保守的なカークランド夫人との間で価値観の違いが露わになる。カークランド医師との出会いに運命を感じているのに、この障害をどう乗り越えていくのか・・・

さらに、バーサの頭をずっと悩ませてきた、ラッセル家の内情が新聞記者に漏れていた事件。どうやら信頼していたメイド・アンドレではないかと使用人たちが気づく。これを知ってバーサはどう出るのだろう。

そして物語の最後、静かに迫る悲劇が訪れる。オスカーの事業に関心を示していたジョン・アダムズが、投資を考えていた矢先、馬車にはねられて命を落としてしまう。希望と決意に包まれた人々の歩みの中に、突然差し込む痛ましい現実。物語は次なる展開へと向かっていく。

第6話を観て・・・

6話のタイトルはことわざであり、バーサのセリフでもありました。

"If you want to cook an omelette, you have to learn to break a few eggs."
(オムレツを作りたいのなら、いくつかの卵を割ることを覚えなくてはならないわね)

何かを成し遂げたい、あるいは成果を得たいのであれば、犠牲やリスクを伴うのは避けられないという意味です。

今回はそういう場面がたくさんありしたね。ジョージの事業交渉、マリアンの別れ、オスカーの赦し、ジャックの巣立ち、誰かが大切な何かを手放すことによって前に進もうとする場面など。

そして、前回の感想のところで書いたグラディスの問題が解決してしまいびっくり!私は忘れていたんです、彼女がバーサとジョージの娘であることを・・・。

バーサの助言は明快
「あなたが一族を救うとヘクターに思わせること」「あなたに委ねて安心だと彼を納得させること」「所有地やヘクターに興味を示すのよ」「レディサラよりも地位が高いと知らしめる」「レディサラを追い出すことができるのはヘクターだけ」「ヘクターがあなたを愛して尊重するように仕向けて。それは私にはできない、あなたにしかできないのよ」

これはバーサ自身がやってきたことなんだなぁと。相手に頭を押さえ込まれて黙っているのではなく、賢いやり方で自分の力を示す。でもそれは時に犠牲やリスクも伴うということか。

うるさい姉に何も言えなかったヘクターの味方になり、そうやって自分の行きたい方向に調整していくのでしょうか。楽しみですね。

ヴァン・ライン家を出ていくジャックの後ろ姿にはちょっと悲しかったけれど、こちらもまた悲しいけれど、成長のための別れ。今後ジャックがどうなるのかも気になります。

あと残り2話。まだまだ回収するべきことがあり、シーズン3で終わりではないのでは・・・そんな風に感じています。

第7話「Ex-Communicated」(追放)

「社交界とは、こんなにも残酷で──こんなにも脆いものだったのか」

シーズン3も残すところあと1話。舞台は、嘘と裏切り、そして喪失の連鎖に揺れています。

社交界を震撼させたのは、ウォード・マカリスターの暴露本。名前こそ伏せているものの、そこに描かれた“上流階級の実態”はあまりに生々しく、アスター夫人でさえ娘のスキャンダルを暴かれる羽目に。怒り心頭のアスター夫人は、アグネス、エイダ、フィッシュ夫人、そしてバーサと手を組み、マカリスターを社交界から追放するという、前代未聞の決断を下します。

一方バーサは、アスターの代わりにニューポートの舞踏会を主催することに。ついに社交界の頂点に立つチャンスを手にしますが──夫ジョージも息子ラリーも、その栄誉に見向きもしません。彼女がどれだけ「グラディスとは和解した」と訴えても、ジョージは頑なに信じようとせず、家にも戻ってこないのです。

そんな中、グラディスにはようやく春が訪れます。夫ヘクターは少しずつ愛情を示し始め、ついには横暴な姉サラをロンドンへ追いやる決意を固めます。ようやくグラディスは自分の居場所を取り戻し始めるのでした。

屋敷では、バーサが命じた内通者探しがついに決着を迎えます。チャーチとブルースは、バーサのメイド、アンドレが情報を外部に漏らしていたことを突き止め、証拠を押さえることに成功。アンドレの解雇で一件落着……と思いきや、またしてもバーサはレディズメイドを失う羽目に。

そして、前回の衝撃的な死──ジョン・アダムズの件で、深い喪失感に沈むオスカー。公には語れない関係だからこそ、悲しみの行き場を失っていた彼を支えたのは、マリアンでした。マリアンの優しさと理解がオスカーの心に静かに沁みわたります。

しかしそのマリアンは、ラリーとの婚約を一方的に破棄。理由も告げず去ろうとする彼女に、エイダがせめて話をするようにと訴えます。ラリーは職場に押しかけ、何があったのかを問いますが・・・マリアンは、彼が娼館を訪れたと思い込み、強く責め立てます。ラリーは潔白を主張するも聞き入れてもらえず。けれど後に、ジャックがその夜ずっとラリーと一緒にいたことを証言。ようやく誤解が解ける兆しが見え始めます。

ペギーはというと、恋人ウィリアムとの関係に暗雲が。彼の母カークランド夫人が、ペギーの過去の出来事を歪めて伝えたせいで、信頼が揺らぎ始めます。それでもウィリアムは冷静に彼女の言葉に耳を傾け、事態を収めようと努力しますが……親の思惑が二人を引き裂くかもしれません。

そして物語の終盤。ついに、ラリーの手によって莫大な銅鉱山の利権を得たジョージが、イリノイ・セントラル鉄道の買収に成功。勝利に酔いしれる彼のオフィスに、突然銃を持った男が現れ、発砲。

その場にいた全員が息を呑んだまま、画面は暗転。ジョージは、生きているのか──? 

緊張が最高潮に達したまま、次回はいよいよ最終話です。

第7話を観て・・・

ええー!と衝撃を受けたラストの場面。ジョージがどうなったのか気になります。お前の居場所はもうないと言われてしまったクレイが黒幕なのかなぁ。

そんな衝撃的なラストだった第7話。それと比べるとその他は割と落ち着いた回だったような気がします。マカリスターの暴露本は、騒ぎにはなっているけれど、具体的な内容はほとんど出てこないからかあまり、淡々とした感じでストーリーが進んでいきました。

でもなぜマカリスターは暴露本を出したのか?が気になったのですが、その理由をバーサに語っていました。上流階級で煌びやかに生きる人々も皆と変わらないことを示したかったと。自分が社交界を作った!そんな創造主としてのエゴなのか?結果自分が社交界から追放を受けることに。

実在の社交界の仕掛け人だったマカリスターの出版した本は、「Society As I Have Found It」という回顧録です。ネット上で読めるようになっているので、読んでみたいと思っています!

ペギーも過去の出来事が、上手く進み出したウィリアムとの恋愛に何か影響を及ぼしそうですし、マリアンもラリーとどうなっていくのか?次週に一区切りつくのでしょうか?

私は、やはりジャックの行く末が気になる!ついに素敵な邸宅をマリアンの付き添いで購入したようです。

さて、先日シーズン4の制作決定が発表されました!!楽しみです。

第8話「My Mind Is Made Up」(固い決意)

「愛も野心も、たった一晩で輝きと翳りを入れ替える──それが、ギルデッド・エイジの夜。」

物語は、ジョージ・ラッセルの銃撃後の衝撃から始まります。救急医療がまだ整っていないこの時代、彼は病院ではなく自宅の食堂へ運ばれ、そこで緊急手術が行われることに。偶然向かいのヴァン・ライン家に居合わせた医師ウィリアムと、ラリーのことを心配するマリアンがラッセル家に駆けつける。2人は力を合わせ、ためらうことなく血まみれの応急処置に挑みます。晩餐会のためのテーブルが、一夜にして手術台に変わった瞬間です。翌朝、なんとか容体は安定しますが感染の危険は残り、犯人もまだ捕まっていません。それでもジョージは、鉄道事業の取引を守るため、何事もなかったかのようにこの事態を秘密にします。

一方ジョージの救出劇の陰には複雑な人間模様が・・・ラリーとマリアンの間にはまだ誤解が残り、素直になれない時間が続きます。そんな中、唯一幸せそうなのは娘グラディス。父の容態を案じながらも、婚約者ヘクターとの未来を楽しみにイギリスから船でやってきます。

ブルックリンでは、ペギーがウィリアムの来訪に胸を躍らせますが、それは思いがけない悲劇の始まり。過去の未婚での出産の秘密が彼の母に知られ、結婚は白紙になりそうに。母ドロシーの力強い励ましも、今はなかなか心に届きません。

ヴァン・ライン家では、アグネスとエイダがマリアンの背中を押し、ラリーとの和解への一歩を促します。なんとオスカーはこのことを利用しようと考えます。マリアンのニューポート行きを後押しするのを条件に、かつてのバーサのメイドで未亡人ウィンタートンを舞踏会に招くようにとバーサに迫るのです。

ジャックの新居にブリジットがやってきます。ジャックの大好物のバウワーさんの作るラムシチューを持って。「君は主人の客だよ」と言って同じテーブルにつかせ、話を弾ませます。

舞台はニューポートの大舞踏会へ。オーロラ、アスター夫人の娘の離婚女性まで招くというバーサの破格の試みです。来ないと思われていたあのアスター夫人も到着。会場はまばゆい照明と音楽に包まれ、舞踏会が始まります。オスカーはウィンタートンに、打算的な結婚という同盟を提案。ラリーとペギーはお互いの間違いを認め合いダンスを。

もう一つの舞踏会会場では、母の反対を押し切ってウィリアムはついにペギーに結婚を申し込みを!!

舞踏会の成功と、ジョージの回復でバーサは大満足な朝を迎えるのですが、事態は一変します。ジョージは、グラディスの結婚を巡る彼女の策略を許せず、家には戻らないと告げます。「君は冷酷すぎる。人生を見つめたら何もかも嫌になった」と言い残し去っていくジョージ。

必死に正当性を訴えるバーサのもとへ、グラディスが妊娠の報せを持ってきます。望んだ未来と、迫り来る孤独──華やかな夜の余韻の裏で、新たな波乱が静かに幕を開けます。

第8話を観て・・・

ああ・・・ついに終わってしまいました。

衝撃のラストなのか??まぁこうなるのは予感していたので、私にはそうよねという終わり方でした。しっかりとシーズン4を意識したラストだったなと感じます。

第8話冒頭はかなり鬼気迫る場面からスタートしました。家に担ぎ込まれる血まみれのジョーシに、駆けよるバーサ。ウィリアム医師とマリアンの必死な手当て。弾は身体から取り除けたがその後のショックの痙攣。みんなの演技力と、カメラワークなどの見せ方がすごくて、見ていた私もハラハラし、うるうるしてしまうほど(笑)

しかし、その後はこれまでのそれぞれのエピソードを上手く回収していきましたね。全部丸く収まるというか、ちょっと出来過ぎな感じもします。

その中で気になったのは、オスカーの企み。彼は良い人そうに振る舞ってますが、個人的にあまり好きになれないなぁ。

ニューポートの舞踏会にやってきたウィンタートン夫人、別名ターナー。彼女の後に名前を呼ばれていたのは、チャールズ・ハヴェマイヤー夫妻でした。こちらは実在の人物で名門ハヴェマイヤー家の1人。私は、メトロポリタン美術館にたくさんの作品を寄贈した、ヘンリーとルイジーヌ・ハヴェマイヤーの方が馴染みがあったのですが、こうやって実在の人物や、出来事に気づけるとちょっと嬉しくなりますね。

さて、ここまで読んでくださってありがとうございます。毎週毎週の放送を楽しみながらあらすじと感想を綴ってきました!これからも何か新しい情報が出てきましたらご紹介していきます。また読みにきてくださると嬉しいです。

『ギルデット・エイジ』はシーズン1から3まで、U-NEXTで独占配信中。
月額2,189円(税込)と、必ずしも“安い”配信サービスではないかもしれませんが、31日間の無料トライアルがあり、その期間中に全シーズンを一気見することも可能です。

私も長年お世話になっているU-NEXTでは、『ギルデット・エイジ』だけでなく、『ダウントン・アビー』も全シーズン+映画版も視聴できます。サービスの詳細や登録方法は、こちらの記事にまとめていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

※記事のタイトルは、『ダウントン・アビー』となっていますが、登録方法は同じです。


-ギルデッド・エイジ, 映画・ドラマの中のカントリーハウス