お屋敷訪問記 ダウントン・アビー

『ダウントン・アビー』の世界・ハイクレア城への旅

2023-11-14

2023年10月、『ダウントン・アビー』にはまって以来、念願だったハイクレア城についに行ってきました。これまで色々なカントリー・ハウスを巡ってきましたが、ハイクレア城は少し特別です。

それは、ハイクレア城で繰り広げられている『ダウントン・アビー』の世界をドラマ、映画で何度も見ていること。現実世界のハイクレア城、そして架空世界のダウントン・アビー。その二つを同時に体験できるからです。

私はただダウントンアビーが好き!というファンとしてではなく、こんなに強烈なイメージを定着させて、今でもたくさんの人を惹きつけているハイクレア城を実際に自分の目で見たかったという気持ちの方が強かったのかも。

この記事では、ハイクレア城とダウントンアビーについて、ハイクレア城の見どころをご紹介します。

私が参加したのはハイクレアのプランは、Real Lives & Film Sets Autumn Guided Tours 2023というものでした。

現実世界のハイクレア城

ハイクレア城(Highclere Castle)


イギリスの にあるハイクレア城は、(Highclere Castle)は、現在第8代カーナヴォン伯爵夫妻の邸宅でもあり、イギリスの歴史的重要建築物であり、一般に公開されている生きる美術館の様な存在でもある場所です。建物だけでなく、広大な敷地内にある領地も含めて、イベントが開催されたり、ロケ地としても使われるなどの存在。

イギリスには「Listed Building(登録建築物)」と言って、特別な建築的または歴史的重要性を持つ建物が、国の文化遺産として保存し、保護するために政府によって正式に登録されています。ハイクレア城はトップレベルのGrade Iに1953年1月10日に登録されています。

遡るところ、今のハイクレア城の歴史は、1679年に中世の宮殿と庭園を現在の伯爵の祖先が購入したところから始まっています。1842年には、ロンドンの国会議事堂を設計したチャールズ・バリーが現在のような姿に改築しました。中世のゴシック建築を、当時の建物に取り入れたゴシック・リヴァイヴァルというスタイルです。

そして美しい建物を取り囲む庭園は、イギリスのランドスケープガーデンの生みの親、ケイパビリティ・ブラウンという当時あちこちの庭園に関わった売れっ子ガーデンデザイナーが手がけたものです。

代々続く一族には興味深い方々もたくさんいて、でもその中でも一番はこのかたでしょう。5代目伯爵の  。ハワード・カーターとともに、エジプトで発掘調査を長年行い、あのツタンカーメンの墓の入り口を発見した人物です。

架空世界のダウントン・アビー(Downton Abbey)

そんなハイクレア城に目をつけたのが、『ダウントン・アビー』の製作者であるジュリアン・フェローズ氏。自分の描くストーリにハイクレア城が理想的だったと語っています。(カーナヴォン伯爵夫人のポッドキャストで語っていました!)

『ダウントン・アビー』は、世界200以上の国と地域で放映されたイギリスの大ヒットドラマです。2010年9月26日にイギリスの民間放送局ITVで初放送され、2015年までにシーズン6まで続きます。映画はこれまで2本も制作されています。

第一次世界大戦勃発直前の1912年から、ヨークシャーにある架空の屋敷「ダウントン・アビー(Downton Abbey)」を舞台に、貴族のクローリー家とその使用人たちの生活を描き、当時起きていた社会の変化を探っていくという壮大な歴史ドラマです。

登場する人たちのなにげない会話の中に、貴族の暮らしや当時の人たちの考え方が盛り込まれていて、とても見応えのある内容です。

ドラマ『ダウントン・アビー』の中で、イギリスに今でも存在する貴族が代々受け継いできた田園地帯にある豪華な大邸宅、カントリーハウス(Country House)と呼ばれる場所での生活を見せてくれるのです。それは、あのクローリ家の邸宅として。

ドラマの一番の主役は登場する人々ではなく、ダウントン・アビーそのものです。

なのでドラマを見た人には、ハイクレア城訪問が、現実世界のハイクレア城、そして架空世界のダウントン・アビー。その二つを同時に体験できると言った私の意味に共感いただけるかなと思ってます。

ハイクレア城の見どころ!

ゴシック・リヴァイヴァルの建物

ゴシック・リヴァイヴァルは、19世紀イギリスで流行した建築様式で、中世ゴシック建築の復興と再解釈を目指しました。ゴシック建築の特徴的な、尖塔、リブ・ヴォールト、尖がったアーチ、装飾的な彫刻などを取り入れています。歴史への回帰とロマンチシズムの影響を反映し、教会、大学、住宅、駅など多岐にわたる建築に影響を与えました。

この様式の素晴らしい例の一つがハイクレア城です。19世紀に建築家チャールズ・バリーによって設計された大きく作り替えられたのです。尖塔や尖がったアーチ、石の彫刻、細かく装飾された窓はなど中世の雰囲気をただよわせながら、19世紀の技術や美意識も反映しているのです。単に過去のモノマネだけでなく、当時の新しい感覚も取り入れた建物だったわけですね。

ちなみに、チャールズ・バリーはロンドンの名所、国会議事堂の建築家でもあります。そう言われると建物が似ていることに気がつくかも。イギリスに行かれたら、ハイクレア城も、国会議事堂も見て比べてみてください。

豪華な邸宅

こちらから入ります。

邸宅内は写真撮影は一切禁止されています。ドラマ画像を使ったりしている記事も見たりしますが、著作権は守りたいので、ここでは写真をお見せすることはできません。

ハイクレア城やダウントンアビー公式のインスタグラムを使って少しご紹介しますね!どちらのインスタグラムも素敵な動画や映像がたくさん投稿されています。もっと見たい方はぜひフォローをおすすめします。

今回私が参加したプランは、ガイドの方が部屋一つ一つを説明していくるツアー付きだったため、1つのグループそれぞれ20人くらいで各部屋を回りました。

初めの部屋は、騎馬像の英国王チャールズ1世の大きな肖像画が飾られたダイニングルームから。『ダウントン・アビー』では、伯爵家の皆さんのダイニングルームとして何度も登場していましたよね。この部屋は他にも肖像画がたくさん飾られていて、歴史とともに人物の紹介がありました。なるほど・・・と聞いていたのですが、たくさんに名前とそのつながりの複雑さにメモをしないととても覚えられません笑

そしてエントランスホールを通り、ライブラリーへ。
ドラマの中でも頻繁に登場していたライブラリー。覚えていますか?
この部屋は四本の大きな柱で2つの部屋に分かれていますが、火災後の修復によって天井の装飾が異なっています。ドラマではそんなところ写っていたのでしょうか・・・ここにはフェイクの本棚もあり、隣のミュージックルームへの隠し扉になっています。

ドラマではミュージックルームの登場は少なかったそうですが、シーズン1のドラマチックな場面、レディーメアリーがパヌークに強引にキスをされるあの場面で使われたとか!壁には刺繍の美しいシルクが壁紙のように飾れていて、次のドローイングルームの可愛らしさとは対照的に、シックで見る人にはわかる豪華さがあるように感じました。

次の淡いパステルグリーンの壁紙が美しいドローイングルームは、食事後の女性が集まる部屋でした。ここは5代目のカーナヴォン伯爵夫人が作り上げた空間。ロスチャイルド家のお嬢様だったアルミナ夫人は、結婚祝いとしてこの部屋に飾られている豪華なシャンデリアを父親からもらったそうです。

次の部屋はスモーキングルーム。名前の通り男性が食事の後に過ごす部屋ですが、先ほどのドローイングルームと違い家具も掛けられている絵画も男性的です。今のご時世男性的とかそういった表現は良くないとは思いますが、狩をイメージさせる鳥が束ねられた絵だったり、グランドツアーの思い出なのかヴェニスの風景画などがありました。

7代目の伯爵夫人がインテリアを整え直したといういうモーニングルームへ。歴代の夫人などの肖像画がたくさん飾られていて、白い壁に花柄のラグやソファーセットが上品で素敵な部屋でした。

そして、ドラマでは登場しないもう一つの階段を使って上の階へ上がります。この階段は建物が拡張される前にメイン階段として使われていたものだそうです。

2階はドラマを見ていた人にはお馴染みの、ベットルームが並ぶ空間です。あーここであんなことがあったなぁーなどと思い出しながら回ります。たくさんの部屋がありますが、かつてはもっとあったそう。今は別の目的の部屋に変えられたりして数が少なくなっているそうです。

途中使用人専用の階段も。昔は上級使用人(執事や女中頭、メイドなど一部の使用人)以外は、家族に姿を見られてはいけなかったため、この狭くて寒々しい専用の階段で移動する必要がありました。

小さな階段を見た後は、“あの“大階段を降りて一階へ。最初に集められたサルーンに戻ります。サルーンは吹き抜けのとても美しい空間です。ここもゴシック建築の要素がたっぷり。柱などの繊細な彫刻や、紋章などが豪華なだけでなく、この邸宅が数々の歴史を受け継いでいることが実感できます。

オーディオガイドを聞いて室内を回るプランもあるようなので、いつも同じように見えるわけではないのかもしれません。より楽しむためにもドラマを見て復習してから行かれることをお勧めします!

エジプト展示

イギリスのハイクレア城になぜエジプトの展示?と思われるかもしれません。
1923年のエジプト。ハイクレア城の第5代カーナヴォン伯爵とハワード・カーターは、3500年前に封印された墓の扉を発見しました。それはなんと長く探索をされていたツタンカーメンの墓でした。2人は16年間もイギリスとエジプトを行き来して墓の調査や発掘をしていたのです。今年2023年はその発見から100周年のいう記念すべき年です。

ハイクレア城の地下には、エジプトでの発見物や、当時の貴重な資料などが並べられた展示室があります。地下ということで先ほど見た豪華な室内とは全く違う、薄暗い雰囲気に驚きますが、これはエジプトの墓の中をイメージするとこの展示がピッタリなのかもしれません。ミイラやミイラが入っている棺などもあり、かなり本格的な空間でした。

長期間にわたっての調査で、パトロンとしてのカーナヴォン伯爵の資金も気になりますし、カーターとの意見の食い違いなどのトラブルなどなかったのでしょうか。参加したプランのお土産に、カーナヴォン伯爵夫人の著作『The Earl and the Pharaoh』をいただきました。ツタンカーメンの墓の発見に隠された驚きの物語。

まだ読み始めていないのですが、この本に発見までのドラマがたくさん書かれているはずです。だって380ページもある本なのです!

こちら聞く読書、audibleだとレディ・カーナヴォンが自らナレーションをされています。こちらもいいかもしれません!

Audible

庭園

朝到着時は真っ白な霧に覆われて、風もかなり強かったです。
霧の景色もなかなかいいものです。イギリスらしく美しかったです。

ハイクレア城内を見て回っているうちに外の霧がなくなり陽の光が出てきました。

ハイクレア城の庭園は、ケイパビリティ・ブラウン(本名はランセット・ブラウン)がデザインしたランドスケープガーデン(風景式庭園と言います)。なだらかな丘が広がり、ところどころには目を楽しませる小さな建築物が配置されています。

ケイパビリティ・ブラウンの胸像もありました

Etruscan Templeという小さな神殿

Jackdaws Castleは、火災にあったロンドンの邸宅から移築された柱を使っているそうです。私は、この建物とダウントンの次女・イーディスと謎のタイタニック生存者の男性や、バーティー・ペラムと話していた場面などが強く印象に残っています。

特徴的な木の下に入り庭園を眺めて見えた景色です

シークレットガーデンの中

Mary's Chair呼ばれています。それはドラマの中で長女のメアリーがこの椅子によく座っている場面があったからです。

Mary's Chairに座り霧の庭園を眺める・・・風のごおーという音とともに真っ白な霧が流れてきて、本当に幻想的な眺めでした。寒かったけど美しかったです。

ランチとお土産

ハイクレア城には、ティールームとギフトショップがあります。カプチーノ、ティー、城のキッチンで作られたクロワッサン、サンドイッチ、サラダ、ラップ、ケーキ、スコーンなどのおいしいメニューが提供されているようです。またパニーニからパスティ、地元産ソーセージのバゲッなどのテイクアウトもあるそう。

ギフトショップでは、文房具、入浴製品、チョコレート、ティー、ビスケット、チャイナマグ、書籍、土産など、幅広いお土産品が。私はカタログとケイパビリティブラウンのガイドブックを購入しました。ギフトショップではオンライン購入もできるようです。

私はチケットに美味しい軽食のついたプランだったので、室内の展示を見終わった後、ティールームでチケットを見せて受け取りました。
軽食ということだったので、簡単なものだろうとそこまで期待していなかったのですが、なかなか豪華で美味しかった。

サンドイッチ:卵やツナがたっぷり入った、ホワイトブレッドとブラウンブレットの4つ。
自家製スープ:パンプキンのスープだと思うけど、甘くなく少しスパイシーだった。
キッシュ
スコーン:半分に切ったスコーンの上にストロベリージャムとクロテッドクリームが。ジャムが先に塗ってあった!
デザート3種
:グラスに入ったチョコとキャラメル、クリームブリュレ、もう一つがチョコだと思います。実はデザート3つは甘      すぎて最後辛かった・・・
ドリンク:紅茶をチョイス。でもティーバックをマグにポンと入れただけのものだった。

昼間は暖かくなってきて、外でゆっくり座っていても寒くなく、とても気持ち良いランチタイムでした!

ハイクレア城への行き方

Newbury駅

私は電車とタクシーを乗り継いでハイクレア城へ向かいました。

プリマスというところから移動したため、前日レディングという街に泊まりました。(当日の朝が早いので、プリマスからだと間に合わないからです)レディング駅からハイクレア城の最寄りの駅のニューブリー駅までは、約25分の距離です。

ニューブリー駅は、住宅地が立ち並ぶ場所にある駅という感じで、小さいけれど落ち着いた雰囲気の綺麗な駅でした。

駅からハイクレア城までの往復のタクシーは事前に予約済み。予定より5分ほど早くタクシーは到着してくれて、乗り込み出発です。
駅からタクシーまでは約20分ほど。駅は晴れていい天気だったのに、近づくにつれてどんどん霧深くなってきます。Google Mapで地形を見るとハイクレア城は標高が高そう。霧が出るのもそんな影響もあるのでしょうか

ハイクレアの門を通り抜けると、お屋敷までしばらく車で走り、駐車場兼タクシーの乗降場につきました。

こちらがハイクレア城へのエントランス。中から外へ写しています。

駅にもタクシーが停まっていたように見えましたが、タクシーで行かれる場合は予約しておく方が絶対お勧め。私はハイクレア城のウェブサイトに記載されていたタクシー会社にいくつか問い合わせしました。
回答が早く、なおかつ安かったAve Cabsを利用しました。結果大満足。時間通りに来てくれて、親切で安心して1日を過ごせました。
タクシーは予約しておくと、到着したらテキストメッセージで、車のナンバーや、運転手の名前などを送ってくれるので安心です。駅からの女性のドライバーさんによるとダウントンファンがいつもたくさん来ているそうです。

(タクシー予約に役立つかも)
私はこんな感じで予約しました。
行き:9時半にニューブリー駅出発
帰り:14時半にハイクレア城出発
片道約20ポンドでした。カード払いもできます。

私は朝10時半からガイドツアーが始まるプランでした。ガーデンの開門は10時からだったので、この時間で予約しました。帰りのタクシーを何時にするのかとっても迷ったのですが、14時半で正解でした。ガーデンを見て、邸宅内とエジプト展示を見て、ランチをして、再び庭園をゆっくり回ったらちょうどいい時間でした。

参考になると嬉しいです。

ハイクレア城の基本情報

ハイクレア城 Highclere Castle
Highclere Park, Newbury RG20 9RN
Tel:01635 253210
Email:theoffice@highclerecastle.co.uk
公式サイト: https://www.highclerecastle.co.uk/

開園日は不定期です。年間を通してイベントなどもたくさん行われているので、それに合わせて日程を組むのがおすすめ。
ホームページでチェックしてみてください。
予約必須の入場チケットはオンラインで簡単に購入できます。

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