シャーロット・ブロンテ。イギリスの小説家で3姉妹のブロンテ姉妹の長女です。
「ジェーン・エア」は、深い情緒と繊細な筆致で描かれたシャーロット・ブロンテの不朽の名作。1847年に発表されたときは大変なセンセーションを巻き起こしたそうです。それも当然で、孤児だったジェーンが、家庭教師として住み込んだ家の既婚者である主人と結ばれるまでを描いています。文章にすると軽くなりますが、当時の社会に反抗した新しい女性像の主人公は本当に当時の人を驚かせたのだろうなと思います。
これまで何度も映画やドラマとなっていますが、今回は2011年に公開された映画のロケ地をご紹介します。
孤児になったジェーンが数々の不運にも負けず、この時代の女性には不可能に近い自らの自由と尊厳を守りながら真実の愛を探し求める姿に、いつの時代の女性も胸を打たれるはず。
イギリス映画らしい、長い歴史と豪華さを持った重厚なロケ地の数々をぜひ映画で見てください。
ジェーン・エアあらすじ
物語は、愛情のない叔母の家で虐待される孤児、ジェーン・エアの厳しい幼少期から始まります。やがて、ロウッド寄宿舎学校に送られます。この学校は、厳格で冷たい雰囲気に包まれ、子供たちは過酷な扱いを受けていました。過酷な環境の中で、彼女は自身の内面の強さを発見し、教育と自立の大切さを学びます。困難を乗り越える不屈の精神が芽生えるのです。
成長し、教師となったジェーンは、ソーンフィールド・ホールで家庭教師として働くことになります。ソーンフィールド・ホールは、壮大な景観と陰鬱な雰囲気が混在する場所。そこで屋敷の主人エドワード・ロチェスター氏に出会います。ロチェスター氏は複雑な過去を持つ魅力的な人物で、ジェーンは彼に深い感情を抱くようになります。
しかし、二人の愛は困難に満ちていました。ジェーンはロチェスター氏が既婚者であり、彼の精神を病んだ妻が屋根裏部屋に隠されていることを知ります。驚きと絶望の中、ソーンフィールド・ホールを去り、新たな人生を模索することを決意。それでも彼女の心は、遠く離れたロチェスター氏へと引き寄せられていました。
その後さまざまな困難を乗り越えていきますが、ロチェスター氏への思いは消えることはありませんでした。結局、彼のもとに戻ります。火災で妻を亡くし、大きく損傷した邸宅。ロチェスター自身も失明し、体を悪くしていました。そんなロチェスターに優しく寄り添うジェーン。
映画全体に、小説の舞台であるピークディストリクトの荒涼とした自然と、イギリスの長く寒い冬、シャーロットの不運さを描くため暗い雰囲気が漂っていました。でもこの物語に流れる、愛と悲しみ、再生と自己発見の壮大な物語を表すように、暗い時と明るい時のコントラストで美しく描かれているように感じました、
しかもカントリーハウスでの生活を描いているシーンが多くとても興味深く見ていました。
おもな登場人物
ジェーン・エア・・・・・ミア・ワシコウスカ
孤児として施設で育ち、教師となった女性。ロチェスターが後見となっているフランス人の少女アデール・ヴァランスの家庭教師として雇われる。
エドワード・フェアファックス・ロチェスター・・・・・マイケル・ファスベンダー
ソーンフィールド・ホールの主人
セント・ジョン・リバース・・・・・ジェイミー・ベル
ジェーンを助ける牧師でのち求婚する
フェアファックス夫人・・・・・ジュディ・デンチ
ソーンフィールド邸の家政婦長。ロチェスターの遠縁。
リード夫人・・・・・サリー・ホーキンス
ジェーンの叔母。引き取って育てていたが寄宿学校に追いやる。
次はそんなロケーションとして使われたお屋敷をご紹介します。
ロケーション
Gateshead House ジェーンが子供時代を過ごす叔母の家
まずジェーンが子供時代をすごす叔母の家 Gateshead House には Wrotham Park(ローサム・パーク)が使われています。
ロンドン中心部から30分の距離にあるカントリーハウス。もともとは1754年に建てられたものですが、その後火事に見舞われ現在の姿は改装されたもの。残念ながらここは一般公開されていません。パーティーなどのイベント会場になったり、ドラマや映画のロケ地として数多く使われています。
Wrotham Park,
Barnet, Hertfordshire, EN5 4SB, U.K.
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Wrotham Park Hertfordshire - Home
www.wrothampark.com
Lowood School ジェーンが入る寄宿舎学校
ジェーンが叔母の家から追い出され、教師たちにいじめられた寄宿舎学校 Lowood School には オックスフォード州にあるBroughton Castle(ブロートン城)が。中世の美しい建物ですが、映画の中でも暗く恐ろしいイメージで登場するのであまり良い印象がなく、細部を覚えていません・・・
建物はもともと14世紀に建てられた領主の館。14世紀には城のような要塞に改築され、1550年代にはチューダー様式に改築されました。17世紀には初代子爵であるWilliam Fiennesが、チャールズ1世に反対する中心人物であったため、城は内戦時、敵に包囲されるという戦の場にもなったそうです。19世紀には建物が崩壊する事態になり、当時の売れっ子建築家、ジョージ・ギルバート・スコット(Sir George Gilbert scott)によって救われました。現在は21代男爵夫妻が住んでいるそうです。
ここは1984年に現在の天皇陛下が当時オックスフォード大学に留学されていた皇太子時代に訪問されたようで、以前調べた時Fiennes家の方と一緒に撮られた写真がホームページに載せられていました。現在はホームページは新しくなっていてそれは無くなっているようですね。
Broughton Castle, Banbury, Oxfordshire OX15 5EB, U.K.
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Broughton Castle - Broughton Castle
Broughton Castle is a medieval fortified manor house in the village of Broughton, which is two miles ...
Thornfiled Hall ジェーンがロチェスターと出会う場所
ジェーンが家庭教師を務め、屋敷の主人ロチェスター氏と恋に落ちる Thornfield Hall には Haddon Hallが使われています。
丘の上に建つ、中世の要塞化されたお屋敷です。どのカントリーハウスもそうですが、代々の主人によって改装されるため、ここでは12世紀から17世紀の姿を建物のあちこちで見ることができます。でもハドンホールは17世紀から1920年までほとんど使われることがなく、手を加えられなかったので「もっとも完璧ですばらしく当時の姿をとどめている建物」と称されています。1920年に9代目公爵夫妻によって荒れ放題になっていた屋敷と庭園が改装され美しい姿を取り戻しました。
Haddon Hall, Bakewell, Derbyshire DE45 1LLA, U.K.
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Haddon Hall - Homepage
Haddon Hall – ‘The most perfect house to survive from the middle ages.
火災の後のThornfiled Hall
ジェーンが去った後お屋敷は火災にあいひどい状態となります。その火災後のThornfiled Hallとして使われたのがWingfiled Manorです。
中世の雰囲気たっぷりの遺跡ですが、現在は安全を考慮して閉鎖されているようです。
1440年代にイングランドの財務官を務めた裕福なラルフ・クロムウェル卿によって建てられた建物は、二つの中庭を取り囲むように配置されています。大きなホールには地下室も付いていたり、高さ22メートルもある塔も残っています。
チャッツワースの女主人ベス・オブ・ハードウィックの夫、シュールズベリー伯爵の邸宅であったり、スコットランド女王メアリーが幽閉されていたりと歴史的にも興味深いところです。
Wingfield Manor, South Wingfield, Alfreton, Derbyshire, England, UK
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Wingfield Manor | English Heritage
The vast and immensely impressive ruins of a palatial medieval manor house, with a huge undercrofted ...
www.english-heritage.org.uk
まとめ
「ジェーン・エア」に登場した4つのロケ地をご紹介しました。
私、実はどの場所にもまだ行ったことがありません。特にハドンホールは、その歴史と美しさから以前からぜひ行って見たいと思っている場所です。ハドンホールは、色々な映画やドラマに使われています。でも見せ方で雰囲気がかなり変わるので、比較しながらみるのも楽しいかもしれません。チャッツワースとも近いので、ぜひ近くに宿泊し、ハドンホールと再びチャッツワースにもいきたいと思っています。
火災後の建物も用意できるほど、イギリスは時代もスタイルもさまざまな建築物が残っているところが魅力です!
ぜひイギリス映画やドラマを見るときは、建物や中のインテリアなどにも注目して見てください。より楽しめること間違いなしです。
カバー画像はHaddon Hall wikimediaより引用